スーパーノヴァ (2020年の映画)

スーパーノヴァ：記憶が遠ざかる時、愛はどのように輝くのか

2020年公開のイギリス映画『スーパーノヴァ』は、20年間連れ添ったゲイカップルのサムとタスカーの物語を描いたヒューマンドラマです。監督はハリー・マックイーン、主演はコリン・ファースとスタンリー・トゥッチという豪華な顔ぶれ。美しいイギリスの湖水地方を背景に、人生の最終段階を迎えた2人の心の揺れ動きが繊細に描かれています。

忘れかけていく記憶と向き合う旅

ピアニストのサムは、作家であるパートナーのタスカーを連れて、思い出の場所や友人たちを訪ねる旅に出かけます。当初は楽しい時間への期待に胸を膨らませていたサムですが、旅の過程で、タスカーの記憶が徐々に失われていくという残酷な現実を突きつけられます。タスカーは、大切な思い出や、サム自身のことさえ忘れていくのです。

愛の深さと喪失の痛み

サムは、タスカーの症状が進むにつれて、喜びと悲しみ、そして深い喪失感を味わいます。かつての楽しい思い出が、今や切ない別れを告げる予兆のように感じられるのです。しかし、サムの愛は揺らぐことなく、タスカーを優しく支え続けます。2人の間には、言葉にならない深い愛情と、別れを目前にした切ない静寂が流れています。

繊細な演技と美しい風景

コリン・ファースとスタンリー・トゥッチの演技は、まさに圧巻です。互いに深く愛し合いながらも、現実を受け止め、静かに別れを準備していく2人の姿は、見る者の心を深く揺さぶります。さらに、イギリスの湖水地方の雄大な自然は、2人の感情を際立たせ、物語に奥行きを与えています。美しい風景と、静謐な空気感は、作品全体に独特の雰囲気を醸し出しています。

キャストと製作

本作の主要キャストは、コリン・ファース（サム）、スタンリー・トゥッチ（タスカー）のほか、サムの姉リリー役にはピッパ・ヘイウッド、リリーの夫クライブ役にはピーター・マックイーンなど実力派俳優が名を連ねています。日本語吹替版では、井上和彦さんと伊藤和晃さんが、それぞれサムとタスカーの声を担当しています。

映画の製作は2019年9月に開始され、10月下旬に終了。キートン・ヘンソンが音楽を担当し、レイクショア・レコーズからサウンドトラックが発売されています。2020年9月にはサン・セバスティアン国際映画祭でプレミア上映され、高い評価を得ています。

批評家の高い評価

『スーパーノヴァ』は、Rotten Tomatoesで90%の高支持率、Metacriticでも68/100と、批評家から高い評価を受けています。コリン・ファースとスタンリー・トゥッチの素晴らしい演技と、死という運命に向き合う人間の感情を深く描いたストーリーが、高く評価されている理由と言えるでしょう。

余韻の残る感動の物語

『スーパーノヴァ』は、単なる恋愛映画ではありません。人生の終わり、そして愛の尊さを改めて考えさせてくれる、深い余韻の残る作品です。記憶が失われていくことへの恐怖、愛する人と別れることへの悲しみ、それでもなお輝く人間の愛。これらの感情が、静かに、そして力強く描かれています。美しい風景と、名優たちの演技、そして心に響く音楽が調和し、忘れられない感動体験を提供してくれるでしょう。

もう一度検索