スーパーパフ

スーパーパフ

特異な低密度の太陽系外惑星

スーパーパフ（Super-puff）は、宇宙空間に存在する太陽系外惑星の中でも、特にその物理的な性質が特異なグループを指します。これらの惑星は、地球と比較して数倍程度の質量しか持ちませんが、驚くべきことにその直径は海王星をも凌ぐほど巨大です。この「質量の割に巨大」という特徴が、結果として極めて低い密度をもたらしており、まるで「わたあめ（Cotton Candy）」のように軽いことから、「Cotton Candy Planet（わたあめ惑星）」という愛称でも呼ばれています。

他の低密度な太陽系外惑星として知られるホット・ジュピターと比較した場合、スーパーパフはいくつかの点で異なります。ホット・ジュピターは恒星のごく近傍を公転し、高温であることが特徴ですが、スーパーパフは比較的表面温度が低い傾向にあります。また、質量もホット・ジュピターに比べて小さいことが多いです。

発見されたスーパーパフの例

これまでに発見されたスーパーパフの中で、特にその低密度ぶりが際立っているのは、太陽に似た恒星ケプラー51の周囲を公転する3つの惑星です。これらの惑星は2012年に、NASAのケプラー宇宙望遠鏡による観測データから確認されました。当初はその大きさから木星や土星クラスのガス惑星と考えられていましたが、その後の精密な質量測定によって、これらの惑星が土星から木星に匹敵するサイズでありながら、その密度は水よりもはるかに低い0.1 g/cm³未満であることが2014年に判明しました。この極端な低密度が、スーパーパフという分類が提唱されるきっかけの一つとなりました。

ケプラー51系の惑星以外にも、スーパーパフの候補とされる天体が存在します。例えば、ケプラー47c、ケプラー79d、ケプラー87c、ケプラー90gなどが挙げられます。これらの惑星も、その質量に対して異常に大きな直径を持つことが観測によって示されています。

存在メカニズムに関する仮説

なぜ、スーパーパフのように質量が小さいにも関わらず巨大で、極めて低密度な惑星が存在するのかは、現在も活発な研究が行われている課題です。いくつかの仮説が提案されています。

塵の噴出説

一つの有力な仮説として、惑星の上層大気から塵が常に宇宙空間に向けて噴出しているという考えがあります。この仮説では、惑星本体の大きさはそれほど大きくないものの、大気圏のはるか上空にまで舞い上がった塵の層が、地球からの観測において惑星の見かけの直径を大きくしていると説明されます。この塵の層は非常に希薄であるため、惑星全体の密度を著しく低くしていると考えられます。

巨大な環の存在説

別の仮説では、スーパーパフと観測されている天体の実際のサイズはもっと小さく、その周囲に非常に大きく広がる環構造が存在する可能性を指摘しています。例えば、惑星HIP 41378 fなどがこのタイプである可能性が議論されています。この場合、地球からの観測では惑星本体と環構造が一体となって見かけ上巨大に見えてしまい、質量測定の結果と組み合わせることで見かけの密度が異常に低く算出される、というシナリオです。もしこの仮説が正しければ、これらの天体は「巨大な環を持つ比較的小さな惑星」と理解されることになります。

これらの仮説は、今後の観測や理論研究によって検証されていく必要があります。

関連事項

スーパーパフは、その極端な性質から「極端な太陽系外惑星」の一つに数えられます。また、低密度であるという点では、ホット・ジュピターやミニ・ネプチューンといった他のタイプの太陽系外惑星とも比較され、惑星形成論や大気進化論における重要な研究対象となっています。

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