スーパーマリン ウォーラス

スーパーマリン ウォーラスの概要

スーパーマリン ウォーラス（Supermarine Walrus）は、イギリスのスーパーマリーン社によって開発された水陸両用の偵察機で、1930年代から第二次世界大戦にかけて広く使用されました。その名前はセイウチを意味し、発音記号としては「ウォゥルラス」と表記されることもありますが、便宜上ここでは「ウォーラス」と称します。

開発の経緯

ウォーラスの開発は、オーストラリア空軍が艦船に搭載できる水上機を必要としていたところから始まりました。これに応じて、スーパーマリン社は既存のシーガル Mk IIIを基にした改良型、シーガル Vを設計しました。試作機は1933年6月21日に初飛行を果たしました。

この機体は、シュナイダー・トロフィーに参戦したスーパーマリンの水上機を作成したレジナルド・J・ミッチェルによって開発が進められ、艦船のカタパルトからの発進が可能なように設計されました。また、最大運用重量においても発進できる強力な性能を備えていました。

ウォーラスは複葉機の形式を採り、下翼にはフロートを装備しており、艦船上での運用に適したデザインが施されています。両翼は艦上での作業のために最大幅を5.5メートルまで折りたたむことができるため、コンパクトに収納可能です。機体には775hpのブリストル ペガサス VIエンジンが搭載され、プロペラは上翼と下翼の間に配置されています。

機体設計と性能

機体の構造は木材と金属で構成されており、武装としては機首と胴体後部にヴィッカース K 機関銃を2丁装備し、345kgの爆弾または爆雷を搭載することができます。また、艇体の側面には引き上げ可能な車輪があり、陸上での離着陸も可能です。

イギリス海軍はこの機体を公式にウォーラス Mk Iとして採用し、その後改良版である木製構造のMk IIもサンダース・ロー社によって生産されました。

生産は1936年から1944年まで続き、最終的に740機が製造されました。

運用と活躍

1935年からこの型の量産機がイギリス海軍とオーストラリア空軍へ引き渡され始め、1937年までにオーストラリア空軍にはすでに24機が配備されていました。この機体は救難用機や対潜哨戒機としても活躍し、アイルランド空軍などでも運用されました。第二次世界大戦中には、イギリス海軍やオーストラリア海軍の戦艦や巡洋艦に搭載され、1947年まで運用が継続されました。

スペック

• - 乗員: 3-4名
• - 全長: 10.2m
• - 全幅: 14.0m
• - 全高: 4.6m
• - 翼面積: 56.7m²
• - 空虚重量: 2,220kg
• - 運用時重量: 3,265kg
• - 動力: ブリストル製ペガサスVIエンジン × 1
• - 出力: 680HP
• - 最大速度: 215km/h
• - 航続距離: 965km
• - 最大運用高度: 5,650m
• - 上昇率: 360m/min
• - 武装:

- 固定武装: ヴィッカース K 7.7mm 機関銃 x 2（機首1、尾部1）
- 爆弾搭載量: 345kg

スーパーマリン ウォーラスは、そのユニークな設計と優れた運用性能から、第二次世界大戦中の艦船搭載機として重要な役割を果たしました。

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