スーパーロボット

スーパーロボットとは

「スーパーロボット」とは、主に日本のアニメ、特撮番組、ゲームといったフィクション作品に登場する、架空のロボット群における一分類を指します。悪の脅威に立ち向かうヒーローとして描かれることが多く、超科学や未知のエネルギーによって駆動する巨大な人型ロボットとして描写されるのが典型的なスタイルです。しばしば、より現実的な設定や描写を持つ「リアルロボット」と対比される概念でもあります。

明確な定義があるわけではありませんが、スーパーロボットと呼ばれる存在は、おおむね以下のような共通の特徴を持っています。

動力源や装甲などに、既存科学の常識を超えた未知の物質やエネルギーが用いられている。
戦車や戦闘機といった通常の兵器とは比較にならない圧倒的な攻撃力と鉄壁の防御力を誇り、既存兵器では太刀打ちできない敵の機動兵器と単機で互角以上に渡り合うことができる。
敵勢力にとっては、その存在が味方陣営にとっての唯一あるいは最も重要な戦力となるため、しばしば破壊や奪取、あるいは搭乗者の排除が最大の目的とされる。
機体には特徴的で強力な必殺技や特殊武装が備わっており、搭乗者が技名を叫びながら使用する、といった演出が見られることが多い。
パイロットの強い精神力や、機体に宿る超自然的な力などによって、カタログスペックを超えた驚異的な性能を発揮することがある。
操縦には特別な技能や条件が必要であったり、製作者の血縁者、特定の能力を持つ者、あるいはロボット自身が搭乗者を選ぶなど、誰でも扱えるわけではないことが多い。
搭乗者は軍人ではなく一般市民であることが多く、機体そのものも軍とは無関係な研究所や組織の秘密基地などで管理されていたり、呼び出すことで出現したりする設定が見られる。
単なる道具ではなく、ロボット自身が意思を持っているかのように自律的に行動する場合もある。
桁外れの性能や技術が用いられているため、量産が極めて困難、あるいは不可能であるケースが多い。

このように、作品世界においてヒーローや救世主、あるいは人知を超えた力の象徴としてロボットの形を借りて具現化された存在と言え、「ヒーローロボット」と呼ばれることもありますが、あくまで概念的な分類であり、例外も存在します。例えば、『スーパーロボット大戦シリーズ』のプロデューサーである寺田貴信氏は、スーパーロボットとリアルロボットを分ける境界線の一つとして「説明できるエネルギーで動いているか」を挙げたことがあります。また、同ゲームシリーズ内では、ゲームシステム上の性能（高い防御力と低い回避率をスーパー系、低い防御力と高い回避率をリアル系とするなど）によって分類されることもあり、これは必ずしも原作での描写と一致するわけではありません。さらに、一部作品ではスーパーでもリアルでもない「ミラクルロボット」という独自の分類を掲げた例もあります。

歴史

「スーパーロボット」という言葉自体は古くから存在しており、例えば1963年開始の漫画『8マン』や、1968年の特撮『ウルトラセブン』に登場するキングジョーがそのように呼ばれた例があります。しかし、アニメやゲームに登場するロボットを特徴によって「スーパーロボット」と「リアルロボット」に区分する概念が広く使われるようになったのは、1995年のテレビゲーム『第4次スーパーロボット大戦』が登場して以降のことです。「スーパー」という語は、元々アメリカのコミックヒーロー「スーパーマン」などの影響があり、極めて優れた存在を指す「スーパー○○」という和製英語的な表現は以前から日本語で広く使われていました。

現代のスーパーロボットのイメージを確立する上で重要な役割を果たした作品がいくつかあります。まず、巨大ロボットが登場する日本作品の原点とも言える横山光輝の『鉄人28号』が挙げられます。当初は兵器として描かれ、操縦者によって正義にも悪にもなる存在でしたが、後のアニメ化などで「正義の味方の相棒」という側面が強調され、スーパーロボット的な作風が確立されました。

そして、1972年に登場した永井豪原作の『マジンガーZ』は、巨大ロボットに主人公が乗り込んで操縦するという手法を確立し、ロボットとパイロットの一体感や擬人化を深めました。さらに、強力な超兵器の装備、状況に応じた強化や改造といった、その後のロボットアニメにおける様々な基本フォーマットを確立し、今日のスーパーロボット像の基礎を築きました。アニメ版のオープニングテーマでも「スーパーロボット」という言葉が用いられています。この後、『ゲッターロボ』のような複数のマシンが合体するタイプや、『勇者ライディーン』のように機体が変形するタイプなど、多様な機能を備えたスーパーロボットが登場しました。

主なタイプ

スーパーロボットには、その機能や形態によっていくつかの代表的なタイプが見られます。ただし、多くの場合、これらの特徴を複数兼ね備えています。

無変形型: 人が乗り込んで操縦する、巨大ロボットの基本的なタイプです。『マジンガーZ』や『グレートマジンガー』などがこの典型ですが、『エヴァンゲリオン』や『ビッグ・オー』なども広い意味でこの範疇に含まれることがあります。
合体型: 複数の戦闘機やマシン、あるいはロボット自体が合体して一体の巨大ロボットとなるタイプです。日本映像史上初の合体ロボットとされる『ウルトラセブン』のキングジョー、『ゲッターロボシリーズ』、『コン・バトラーV』、『勇者シリーズ』、『スーパー戦隊シリーズ』の巨大ロボなどが代表例です。
変形型: 単体で形態を変える機能を持つタイプです。ロボット形態から別の形態（例えば飛行機や戦車）へ変形するものや、その逆などがあります。『勇者ライディーン』、『ダイターン3』、『サイバスター』、一部の『勇者シリーズ』や『スーパー戦隊シリーズ』のロボットなどが含まれます。
無線操縦型: ロボットに直接乗り込むのではなく、外部からリモコンなどで操作するタイプです。巨大ロボットの先駆けである『鉄人28号』や『ジャイアントロボ』がこのタイプに当たります。
アタッチメント型: コアとなる機体に外部パーツを追加武装として装着し、性能を強化するタイプです。『鋼鉄ジーグ』や『ガオガイガー』などに見られる特徴です。
* 自律型: 人間のような高度な意思や自我を持つロボットタイプです。無機質な生命体として描かれる『トランスフォーマー』や『マシンロボ』シリーズ、AIが自我を持つタイプ、『大鉄人17』や『勇者シリーズ』の一部、あるいは特定の『スーパー戦隊シリーズ』のサポートロボットなどがこれに該当します。

これらの分類は厳密なものではなく、多くのスーパーロボットは複数の特徴を併せ持っています。その多様な形態と物語におけるヒーローとしての役割が、スーパーロボットというジャンルの魅力となっています。

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