スーパー・スプレッダー

スーパー・スプレッダーとは

スーパー・スプレッダー（英: super-spreader）とは、感染症を引き起こす病原体に感染したホストの中でも、特に多くの二次感染を発生させる感染者を指します。通常考えられる感染の範囲を超えて他の人々に感染するため、感染症の管理や疫学の分野において重要な懸念事項となります。また、スーパー・スプレッダーによって引き起こされた多くの感染事例は、「スーパー・スプレッディング現象」と呼ばれます。

スーパー・スプレッディングのメカニズム

スーパー・スプレッダーの存在は、パレートの法則と関連付けられ、少数の感染者が大多数の感染を広げる傾向があると言われています。具体的には、20%の感染者が80%の感染拡大に寄与するとされる場合もあります。しかし、個々の感染者の影響度はこの法則とは異なり、個々のケースによって大きく変動します。スーパー・スプレッディング現象が発生する理由としては、集団免疫の不足や、病原体の強い感染力、また感染経路の特性など、多岐にわたる因子が絡んでいます。

たとえば、集団内で免疫を持つ人の割合が低いと、感染が広がる可能性が高まります。また、院内感染や他の病原体との重複感染も、スーパー・スプレッディングの要因となります。監視・追跡システムの導入があっても、感染者の大多数が二次感染をほとんど起こさないこともあり、効果的な対策を策定する上での難しさが増します。

スーパー・スプレッディング現象の具体例

スーパー・スプレッディングの事例は多く、特に歴史の中で顕著なものも存在します。たとえば、腸チフスを広げた「チフスのメアリー」や、重症急性呼吸器症候群（SARS）流行時の感染者が挙げられます。チフスのメアリーは、無症状でありながら多数の人々に感染を広げ、結果的に強制隔離されることになりました。特に、彼女の事例は無症状の感染者が感染を広げる危険性を示す重要なケースとして知られています。

SASのケーススタディ

重症急性呼吸器症候群（SARS）の際には、感染者がホテルで宿泊中に複数の人へ二次感染を起こし、その結果、感染が世界的に広がることとなりました。このようなイベントは、出発点となる感染者が存在することが鍵です。

ほかにも、エボラ出血熱の流行では、特定の患者からの感染が多数のケースにつながることが確認されています。2014年の流行時には、少数の感染者が全体の感染の大部分を引き起こしたとされます。

感染拡大に寄与する要因

スーパー・スプレッダーが感染を拡大させる要因には、いくつかの重要な側面があります。まず、感染者が持つ病原体の量が通常よりも多く、または疾患の有効再生産数が高い場合があります。このような要因が合わさることで、特定の個体が異常な感染の拡大を引き起こすことになります。

さらに、重複感染も重要な要因です。性感染症などによって、1つの感染者が他の病原体を持つことで拡散のリスクが高まります。これに加えて、疫学の観点からは集団免疫の欠如も無視できず、集団内での免疫保有者の割合が低ければ低いほど、感染は広まりやすくなります。

まとめ

スーパー・スプレッダーという概念は、感染症の流行やアウトブレイクを管理する上で非常に重要です。それは、感染の拡大を抑えるための戦略や対策を立てる際に欠かせません。将来の研究や疫学的な調査を進めることで、これらの感染症に対する理解を深め、効果的な予防策を講じる必要があります。

もう一度検索