ズィナー

ズィナーについて

ズィナー（アラビア語: زناء‎、DMG方式: zinā）は、イスラム法で重罪とされる行為を指し、主に婚外の性行為を含みます。この行為には強姦、婚前の性行為、売春、さらには同性間の性行為も含まれます。特に肛門性交も重罪と見なされ、厳しい法的措置が講じられることがあります。

ズィナーの根拠

ズィナーに関する規定はクルアーンに明示されています。具体的な引用としては、以下のような文言があります。

• - 第17章32節では、「私たちは私通の危険に近づいてはいけない、それは醜行かつ憎むべき道である」と示されます。
• - 第25章68節では、アッラーが禁じる行為を犯さず姦淫しない者が罰を受けるとの警告がされています。
• - 第24章2節は、姦通の罪を犯した男女に対し、それぞれ100回の鞭打ちが命じられることを記しています。

さらに、ハディース（預言者ムハンマドの言行録）では、同性間の性行為についてもズィナーと見なされ、特に男性同士の場合は死刑が定められることが述べられています。また、ズィナーを犯した女性が石打ちにされた事例も記録されています。

告発の条件

ズィナーの罪を告発するためには、数つの条件を満たす必要があります。重要な条件としては、告発者に対して以下のことが求められます。

• - 被告人がムスリムであること
• - 常識を兼ね備え、酩酊していないこと
• - 大人であること（婚姻可能年齢の定義については見解が分かれます）
• - 自由意志で行動していること
• - 4人の男性証人が必要、または具体的な証拠が求められます。

死刑が適用されるためには、さらに細かい条件が必要とされます。被告人が自由でなければならず、既婚者であること、また妊娠していないか授乳していないことなどです。

宗派・地域による違い

ズィナーに対する解釈と罰については、宗派や地域に応じて大きな違いがあります。例えば、サウジアラビアではズィナーの犯罪に対して石打ちが行われていると言われることがありますが、実際にはワッハーブ派の解釈により、この刑罰は法的には存在しません。そのため、ズィナーには銃殺、斬首、絞首などが科され、実際には女性が厳罰を受けるケースが多いのです。

他にも、イランやアフガニスタンでは依然として石打ちが行われており、インドネシアではズィナーの規定が形骸化しているとの指摘があります。特に、処罰の執行ではしばしば女性に対して極端に厳しい対応が取られがちです。

事例

特筆すべき事例として、サウジアラビアで1997年にアメリカ海兵隊員と駆け落ちした王族の女性は銃殺、同伴者は斬首される結果となりました。また、1977年には、外交官の息子との駆け落ちを試みた王族女性が公開処刑で銃殺刑にされ、交際相手の男性が斬首された事件もあります。これらの事例は、ズィナーに対する厳しい刑罰の一端を示すものです。

ズィナーに関する問題は、社会的、文化的な背景に影響を受け、単に宗教的な側面だけではなく、法律や権力構造にも深く関わっています。

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