ズィヤール朝

ズィヤール朝：カスピ海南岸を支配した王朝

ズィヤール朝（927年 - 1043年/1090年頃）は、カスピ海南岸のゴルガーン地方からマーザンダラーン地方を支配したイスラム王朝です。最盛期にはギーラーン地方やレイ、クーミス地方にまで勢力を拡大しました。

隆盛と文化

第2代君主ワシュムギールの時代に隆盛したため、ワシュムギール家とも呼ばれました。第4代君主カーブースはアラビア語詩人としても高名で、学芸の保護者として知られています。彼の宮廷にはイブン・スィーナーやビールーニーが集まり、文化的な中心地として栄えました。特にビールーニーはカーブースに『古代民族年代記』を献呈しています。

衰退と滅亡

しかし、ブワイフ朝との抗争に敗れ、イラン高原への影響力を失いました。さらに、ガズナ朝の圧迫を受け衰退し、第6代君主アヌーシールワーンの時代にはガズナ朝に領土を併合されました。その後、カイ・カーウースとその息子ギーラーン＝シャーが確認されていますが、ギーラーン＝シャーを最後に系譜は途絶えました。

『カーブースの書』

第7代当主カイ＝カーウースは、息子ギーラーン・シャーに宛てた『カーブースの書』を著しました。これは君主としての品行を説いた随筆で、ペルシア語散文文学の古典的傑作として知られています。

歴代君主

マルダーウィージュ・ブン・ズィヤール（928年 - 934年）
ワシュムギール・ブン・ズィヤール（934年 - 967年）
ビフストゥーン・ブン・ワシュムギール（967年 - 977年）
カーブース・ブン・ワシュムギール（978年 - 1012年）
マヌーチフル・ブン・カーブース（1012年 - 1029年）
アヌーシールワーン・ブン・マヌーチフル（1029年 - 1043年/1049年）
カイ＝カーウース・ブン・イスカンダル・ブン・カーブース・ブン・ワシュムギール
ギーラーン＝シャー・ブン・カイ＝カーウース

参考文献

カイカーウース、ニザーミー 著『ペルシア逸話集 カーブースの書 四つの講話』（黒柳恒男 訳）平凡社 東洋文庫 134、1969年。

外部リンク

ズィヤール朝の建造物群

もう一度検索