ズマ (アルバム)

アルバム『ズマ』の紹介

『ズマ』は、1975年11月にリプリーズ・レコードからリリースされたカナダ/アメリカのミュージシャン、ニール・ヤングの7枚目のスタジオアルバムです。このアルバムは、彼がクレイジー・ホースと共に制作したもので、特に「コルテス・ザ・キラー」という楽曲が広く知られています。『ズマ』は、その発表後にBillboard 200で最高25位に達した実績もあります。

アルバムの背景

1972年、クレイジー・ホースの元メンバー、ダニー・ウィッテンが過剰摂取によって亡くなったことが、ニール・ヤングに大きな影響を与えました。この悲劇が原因で、クレイジー・ホースの活動は一時凍結されましたが、1973年後半には新たなメンバーを迎え入れ、サンタモニカ・フライヤーズとしてツアーを行うこととなります。この新しい編成には、ヤングとともに過去のアルバムにも参加したビリー・タルボット（ベース）やラルフ・モリーナ（ドラムス）、ニルス・ロフグレン（ギター）などが含まれていました。最終的には、ヤングはタルボットとモリーナを中心に新しいクレイジー・ホースを結成し、1980年代まで長く活動を続けることになります。

アルバムの内容

『ズマ』は、ヤングの「ディッチ・トリロジー」として知られる前作群の後にリリースされたアンサンブルで、実験的で多様な音楽スタイルが展開されています。特に「ドント・クライ・ノー・ティアーズ」の歌詞とメロディは、ヤングが高校時代に出した未発表の曲「I Wonder」に由来しており、彼の過去の思い出が表現されています。また、名曲「コルテス・ザ・キラー」において、主に中南米の体験を基にしたストーリー展開が魅力で、予期しない電力サージにより曲がフェードアウトして終了するという独特な仕掛けが施されています。

アルバムのもう一つの重要なトラック、「デンジャー・バード」では、未発表曲の要素が織り交ぜられ、ヤングの私生活に影響を与えた出来事や感情が反映されています。「L.A. Girls and Ocean Boys」というフレーズは、彼とキャリー・スノッドグレスとの関係の終焉を暗示しているため、リスナーに緊張感を与えます。

収録曲と参加ミュージシャン

このアルバムには、全ての曲にニール・ヤングが作詞作曲を担当しています。参加ミュージシャンとしては、ニール・ヤングがボーカル、ギター、ピアノを担当し、クレイジー・ホースのメンバーであるビリー・タルボット（ベース、バックボーカル）やラルフ・モリーナ（ドラム、バックボーカル）、フランク・サンペドロ（リズムギター）らが演奏に参加しています。また、スティーヴン・スティルスやデヴィッド・クロスビー、グラハム・ナッシュといった著名なアーティストもバックボーカルなどで貢献しています。

評価と影響

『ズマ』は1997年にアメリカレコード協会からゴールドディスクの認証を受け、2000年にはコリン・ラーキンによって『史上最高の1000枚のアルバム』において410位にランクインされるなど、音楽史における重要な位置を占めていることが証明されています。今なお多くのミュージシャンやファンから支持され続けており、ニール・ヤングの音楽的な旅の中でも特筆すべきアルバムと言えるでしょう。

もう一度検索