スム

ウズベキスタンで使われている通貨、スム(soʻm/сўм)は、その歴史的背景から興味深い特徴を持っています。ソ連時代、旧ソ連構成国ではルーブルが使用されていましたが、ウズベキスタンを含む中央アジア諸国では、ルーブルを「スム（ソム）」と呼んでいました。これは、カザフ語、キルギス語、ウズベク語で「純金」を意味する言葉であり、通貨の価値に対する期待感も反映していたと言えるでしょう。

ソ連崩壊後、ウズベキスタンは1993年11月15日に独自通貨のスムを発行しました。当初発行された紙幣は、過渡的な措置としてデザインが簡素化されており、1、3、5、10、25、50、100、200、500、1000、5000、10000スムの額面がありました。しかし、インフレの進行に伴い、1994年7月1日には1000旧スムを1新スムとする通貨改革が行われ、さらにティイン（1スムの100分の1）という補助単位も導入されました。

この通貨改革後も、紙幣と硬貨は複数回に渡り発行され続けました。硬貨は1994年から2004年にかけて、第1シリーズと第2シリーズが発行され、額面はティインから100スムまでと幅広かったです。紙幣も同様に、1スムから10万スムまでの高額紙幣が発行され、そのデザインにはウズベキスタン独自の文化や歴史が反映されています。興味深いのは、ソ連時代からの慣習を受け継ぎ、長らく紙幣にはキリル文字表記が使用されていましたが、2013年に発行された5000スム札からラテン文字表記に切り替えられた点です。硬貨はすでにラテン文字表記でした。

ウズベキスタンの経済状況を反映するように、スムの価値は変動を繰り返してきました。特にインフレは深刻な問題であり、2017年時点では、小額紙幣や硬貨は流通せず、100スム以上の紙幣が主に使用される状況でした。また、公定レートと闇レートの乖離も大きく、経済の不安定さを示していました。この状況を受けて、2017年9月には公定レートが大幅に切り下げられました。

インフレ対策として、2018年以降は第3シリーズの硬貨と紙幣が発行されています。硬貨は50スムから500スムまで、紙幣は2000スムから20万スムまでと、高額紙幣への依存が強くなっていることが分かります。一方、旧シリーズの硬貨や紙幣は順次流通停止となり、現在ではティイン単位は事実上使われておらず、50スム硬貨が最小単位となっています。

このように、ウズベキスタンのスムは、ソ連崩壊後の経済変動を反映しながら、その歴史と現状を物語っています。通貨の変遷は、ウズベキスタンの経済政策や社会情勢を理解する上で重要な要素であり、今後の動向にも注目が必要です。今後のスムの価値や、さらなる通貨改革の可能性なども、ウズベキスタン経済の安定と発展に大きく関わってくるでしょう。また、歴史的背景、文化、経済状況など様々な要因が複雑に絡み合い、現在のスムのあり方となっていることを理解することが重要です。

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