セイボリー

セイボリー：豊かな風味と歴史を持つハーブ

セイボリーは、シソ科キダチハッカ属に属する一年生または多年生のハーブの総称です。約30種が存在し、ハッカに似た爽やかな香りと、密集した葉の様子から、日本では「木立薄荷」と呼ばれています。地中海沿岸原産で、代表的な品種にサマーセイボリーとウィンターセイボリーがあります。

サマーセイボリーとウィンターセイボリー

サマーセイボリーは一年草で、草丈は10～60cmほどに成長し、夏には淡紫色の花を咲かせます。一方、ウィンターセイボリーは多年生で、成長すると1.5mほどの低木になります。

香りの面では、サマーセイボリーの方が柔らかく豊かな風味を持つと評価されており、ハーブとしての利用価値が高いです。しかし、ウィンターセイボリーは通年収穫できるという利点があります。それぞれの特性を生かして、料理や用途に合わせて使い分けることができます。

セイボリーの多彩な利用法

セイボリーは古くから、葉の部分をハーブとして利用されてきました。16世紀の本草書には、催淫剤や胃腸薬としての効果が記されており、17世紀には目のかすみや耳鳴りへの効果も報告されています。また、駆風薬や去痰剤としても用いられてきましたが、現在では薬草としての利用はほとんどありません。

今日では、主に食用として利用されています。ハーブティーはもちろん、肉料理や豆料理のスパイスとして広く用いられています。特にドイツでは「豆のハーブ」と呼ばれ、豆料理には欠かせない存在です。コショウが貴重だった時代には、コショウの代用品としても用いられていた歴史があります。

セイボリーの使い方も多様です。乾燥させた葉や生の葉を刻んで料理に振りかけたり、煮込み料理に加えたりします。また、酢に香りを移してドレッシングを作ったり、ハーブミックスのエルブ・ド・プロヴァンスの材料としても用いられています。

主要な品種：サマーセイボリー

サマーセイボリー（学名：S. hortensis）は、別名セイボリー・サマー、または単にセイボリーとも呼ばれ、和名はキダチハッカです。ヨーロッパと北アフリカ原産の一年草で、草丈は30～60cmになります。夏には淡紫色の小さな花をまばらに咲かせます。

タイムに似た清涼感のある香り、そして刺激的な苦みが特徴です。この独特の風味は、花、茎、葉すべてに含まれており、食用、飲料用、薬用として利用されてきました。特に豆料理との相性が良く、「豆のハーブ」という別名を持つほどです。

セイボリーの豊かな歴史と現代へのつながり

セイボリーは、その歴史と多様な利用法から、古くから人々の生活に深く関わってきたハーブであると言えます。薬草としての側面も持ちつつ、その独特の風味は現代の料理にも欠かせない存在となっています。今後も、その豊かな香りと風味を活かした、様々な料理や製品が登場していくことが期待されます。

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