セイム (ポーランド・リトアニア共和国)

ポーランド・リトアニア共和国におけるセイムの歴史

ポーランド・リトアニア共和国におけるセイムは、1569年のルブリン合同によって形成された全国議会で、18世紀末までの約200年にわたって両院制のもとで機能しました。この議会は、ポーランド王国とリトアニア大公国の合併を受けて成立し、両国の貴族たちによる合議制を基盤としていました。このセイムは「黄金の自由」と称される特異な合議政体の中心を成し、国王であってもその承認なしに法を制定することはできませんでした。

セイムの構成と運営

セイムは通常、下院と上院の二院制で構成され、多数決や全会一致による採決が実施されていました。開催周期は基本的に2年ごとであり、ワルシャワが主要な開催地として選ばれ、多くのセイムがここで行われました。下院議員は当初は50人でしたが、172回にわたる開催を経て、18世紀には150人にまで増加しました。上院は貴族と聖職者から成り、議員数は1598年から約149人で、翌年以降177人に達しました。

セイムでは財政や軍事、外交に関する最終判断を行う権限が与えられており、国王と議会の間での権力のバランスが常に求められてきました。特に1505年に制定されたニヒル・ノヴィの法律によって、立法権は国王とセイムの承認を必須とする制度が確立され、国王が独断で法令を出すことは難しくなりました。

自由拒否権とその影響

しかし、17世紀に入ると、自由拒否権（リベルム・ヴェト）がシュラフタ（貴族階級）の特権として認められ、議会はしばしばこの拒否権の行使によって麻痺する事態が発生。一時は32回ものセイムで法案が通過できないという状況も起き、ポーランド・リトアニア共和国の政治的機能が鈍化しました。自由拒否権が導入された背景には、合意を求める制度が次第に反対勢力の手に利用されるようになったことが挙げられます。

特別セイムと王選挙

国王の死去後、空位の際には特別セイムが開かれ、国王選挙の議論が進められました。召集セイムでは新国王選出の制度を決定し、選挙セイムでは原則として累積投票が行われ、多くの貴族が出席しました。この選挙制度は非常に多くの選挙人が集まることから、時には数日を要することもありました。戴冠セイムでは新国王の戴冠式が行われ、これにより国王の権限が正式に確定しました。

衰退と解散

セイムは1791年の5月3日憲法により権限を一部制限されたものの、ポーランド・リトアニア共和国は1792年のポーランド・ロシア戦争の敗北により衰退し、1793年のグロドノ・セイムで最終的に崩壊しました。

その後、1815年にロシア主導のもとで再びセイムが設置されましたが、これは実権を持たない形で存在しており、独自の権力を行使することはできませんでした。1918年にポーランドの独立が回復されると、1919年には新たにセイムが再建され、現在でもポーランド共和国の下院を指す名称として使われています。

このように、ポーランド・リトアニア共和国のセイムは、議会制度の発展と貴族による政治参加の長い歴史を持ち、その影響は今日においても感じられます。

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