セイルフィッシュ (SS-192)

セイルフィッシュ (USS Sailfish, SS-192)

セイルフィッシュ（USS Sailfish, SS-192）は、アメリカ海軍の潜水艦で、サーゴ級潜水艦の一つです。その名称は、バショウカジキに由来しています。元々はスコーラス（USS Squalus）として知られていましたが、退役後はセイルフィッシュ級潜水艦の初代艦名として再び使用されました。

艦の歴史

スコーラスは1937年10月18日、メイン州キタリーのポーツマス海軍造船所で起工し、1938年9月14日に提督の夫人によって進水しました。1939年3月1日、オリヴァー・F・ナクイン少佐の指揮の下で正式に就役しました。

沈没事件

1939年5月、スコーラスはニューハンプシャーの沖合で潜水試験を行っていました。推進システムの不具合により、浸水が発生し、26名の乗組員が命を落としました。生存者は迅速な対応により他の区画の氾濫を防ぎ、姉妹艦スカルピンに位置を通報。新型救助装置による救助作業が行われ、33名全員が無事に救出されました。この成功した救助作戦は、当時の潜水艦の技術的限界を再認識させるものでした。

アメリカ海軍はこの事故を受け、スコーラスの引き揚げを決定しました。この決定は、単に経済的観点からだけでなく、潜水艦技術の向上を図るためでもありました。引き揚げは1939年7月13日に成功し、その後艦名がセイルフィッシュに変更されました。

太平洋戦争と戦績

セイルフィッシュは1940年5月に再就役し、太平洋戦争が勃発してからは、アジア艦隊の一員として多くの哨戒任務を務めました。最初の哨戒では、ルソン島で敵艦隊との接触がありましたが、戦果は確認されませんでした。数回の哨戒の後、セイルフィッシュは日本艦船に対しての攻撃を実施し、いくつかの成功を収めました。

1942年の間、セイルフィッシュは6回の哨戒を重ね、敵艦との接触や攻撃を続けました。特に注目すべき戦績は、3隻の魚雷を発射し、重巡洋艦や輸送船に成功裏に命中させたことです。しかし、戦果が確認されないこともしばしばでした。日本側の記録に残る戦果は少なく、セイルフィッシュが直接的な影響を与えたかは依然として不明です。

最後の哨戒

1944年に入ると、セイルフィッシュは深刻な損傷を負いながらも哨戒任務を続けました。特に重要な任務は、日本の艦隊に対する攻撃で、いくつかの空母に損傷を与えました。しかし、セイルフィッシュもまた敵の攻撃にさらされ、技術的な限界を試されることとなりました。

訓練艦と退役

戦後、セイルフィッシュは訓練艦としての任務を果たし、様々な訓練活動に従事しました。1945年にはハワイを出発し、数ヶ月間にわたり訓練任務を行いました。その後、1945年10月27日に退役が決定され、再び海に沈む運命を迎えました。

セイルフィッシュは戦功によって9つの従軍星章を授与され、顕著な功績により特殊部隊章も受章しました。現在、スコーラスの事故で犠牲になった乗員の慰霊塔の傍に、セイルフィッシュの司令塔が展示されており、その歴史を今に伝えています。

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