セオドア・ニューカム

セオドア・ミード・ニューカムの生涯と業績

セオドア・ミード・ニューカム（1903年7月24日生 - 1984年12月28日没）は、アメリカの社会心理学の重要人物であり、長年にわたって学術界で活躍した。彼は主に大学生活と学生の社会的、政治的信条の変化に関する研究で知られ、特に「ベニントン・カレッジ調査」を通じてその重要性を浮き彫りにした。ニューカムは、心理学者としてのキャリアを築くための博士号をコロンビア大学で取得し、その後、リーハイ大学やウェスタン・リザーブ大学、ベニントン・カレッジ、ミシガン大学にて教鞭を執った。

経歴

ニューカムはオハイオ州ロック・クリークに生まれ、会衆派教会の牧師の息子として育った。地元の学校で教育を受けた後、クリーブランドの高校に進学し、そこでも優秀な成績を収めたのち、オーバリン大学に進学。卒業後は、高校教員として短期間働いた後、神職の道を歩もうとしていたが、心理学に魅了され、最終的にコロンビア大学でPh.D.を取得した。

職歴における重要な役割

ニューカムは、多くの大学で教鞭を執り、1942年から1945年までは第二次世界大戦中に軍務にも従事した。戦後は、ミシガン大学にサーベイ調査センターを設立し、これが後に社会調査研究所（Institute for Social Research）へと発展していく。加えて、ニューカムは社会心理学専攻の博士課程を創設し、長きにわたってその指導的役割を果たした。

ベニントン・カレッジ調査

彼の名を世に知らしめたのが「ベニントン・カレッジ調査」であった。1935年から1939年にかけて、女子大学のベニントン・カレッジにおいて学生たちの社会的、政治的信条の変化を調査したこの研究は、青年期における準拠集団の影響を強調し、大学生活が学生に及ぼす影響を深く考察した。調査手法として、大規模なインタビューを通じて継続的に信条の変遷を追跡する方法を採用し、相互作用の重要性を示した。

理論的には、互いに好感を持つ人物同士の接触が意見の一致を促すという考え方があったが、後の再分析によると、真に重要なのは意見の一致ではなく、相手の立場理解の深まりであることが示されている。

A-B-Xモデルの提唱

ニューカムは1950年代に、2人の人物（AとB）が特定のテーマ（X）についてどのように相互作用するかを説明する「A-B-Xモデル」を提唱した。このモデルは、社会心理学における認知的相互作用を理解するための基礎となり、今日でも多くの研究で利用されている。

栄誉

教職のかたわら、ニューカムはアメリカ心理学会の会長を務め、多くの著名な学術団体からの表彰も受けた。彼は1957年にはアメリカ芸術科学アカデミー、1974年には米国科学アカデミーの会員に選ばれ、その業績が高く評価された。

家族と死

ニューカムは、ウェスタン・リザーブ大学での勤務中に、メアリ・E・シバードと結婚し、1男2女に恵まれた。1984年にミシガン州アナーバーの自宅で逝去する前の数週間、心臓発作に見舞われていた。彼の人生と業績は、社会心理学の発展に大きな足跡を残した。

主要著書

ニューカムは、さまざまな著書を執筆し、社会心理学の理解を深めるための重要な資源を提供した。主な著書には、以下のような作品がある。

• - Experimental Social Psychology（1937年） - ガードナー・マーフィーとの共著
• - Personality and Social Change（1943年）
• - Social Psychology（1950年）
• - Persistence and Change（1967年） - co-authored
• - Impact of College on Students（1968年） - co-authored

これらの作品は、彼の研究成果や思想が広く知られるきっかけとなった。特に、大学生活が学生の人格形成にどのように影響するかを探る視点は、今なお多くの研究者に影響を与え続けている。

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