セカンド・チャンス (1983年の映画)

セカンド・チャンス

『セカンド・チャンス』（原題：Two of a Kind）は、1983年に製作されたアメリカ合衆国のロマンティック・コメディ映画です。監督と脚本はジョン・ハーツフェルドが務め、主演にはジョン・トラボルタとオリビア・ニュートン＝ジョンが起用されました。彼らは大ヒット作『グリース』（1978年）以来の再共演となり、特にニュートン＝ジョンにとっては3作目の映画出演となりました。音楽はパトリック・ウィリアムズが担当しています。

本作は公開当時、批評家から非常に厳しい評価を受け、その評価は最低レベルと評されました。Rotten Tomatoesでは11件の評論のうち肯定的な評価はわずか18%（平均点4/10）、Metacriticでは5件の評論全てが低評価（平均点5/100）という結果でした。興行的にも期待されたほどの成功は収められませんでしたが、最終的には一定の利益を上げたと言われています。しかし、この映画の不振は主演のトラボルタのキャリアに大きな影響を与え、彼がクエンティン・タランティーノ監督の『パルプ・フィクション』（1994年）で再び脚光を浴びるまで、約10年の雌伏期間を要することとなりました。

対照的に、本作のサウンドトラック盤は大きな成功を収めました。アルバム『Two of a Kind (soundtrack)』は100万枚を超える売上を記録し、ミリオンセラーとなりました。特に、オリビア・ニュートン＝ジョンのシングル曲「運命のいたずら (Twist of Fate)」は大ヒットし、アメリカのビルボードチャートで最高5位、オーストラリアのARIAチャートで最高4位、日本のオリコンチャートでも73位を記録しました。この楽曲があまりに好評だったため、そのメロディを本編の様々なシーンに反映させるべく、映画公開の直前にサウンドトラック全体が差し替えられるという異例の対応が取られました。他にも、トラボルタとのデュエット曲「テイク・ア・チャンス (Take a Chance)」が収録されており、こちらもビルボードのアダルト・コンテンポラリー・チャートで最高3位を記録するなど、サウンドトラックは映画本体とは対照的な評価と商業的成功を収めました。

物語は、天国でゴルフを楽しんでいた4人の天使、チャーリー、アール、ゴンザレス、ラスのもとに、地球に対する義憤を抱いた神が現れる場面から始まります。神は人類の存在に絶望し、ノアの大洪水以来の全てをやり直そうと告げます。天使たちはこれに反対し、もし典型的な地球人の男が改心できることを証明できれば、人類にもまだ希望があるはずだと神を説得します。神はその提案を受け入れ、改心させるべき典型的な人間として、売れない発明家であるザック・メロンを選びます。

ザックはヤミ金業者から追われる日々を送っており、状況を打開するために銀行強盗を決行することを決めます。銀行に押し入ったザックは、出納係のデビー・ワイルダーに銃を突きつけ現金を要求しますが、デビーは機転を利かせ、ザックに渡した金の一部を密かに自分の手元に残します。このことにその場では気づかなかったザックは、後になってデビーが金をくすねていたことを知り、「盗まれた」金を取り戻すためにデビーの行方を追います。しかし、ザックとデビーは追いつ追われつの状況の中で次第に惹かれ合い、最終的には自然と恋に落ちていくことになります。そして彼らの関係が、人類の未来を左右する神の試みへと繋がっていくのです。

主なキャストは以下の通りです。

ザック・メロン：ジョン・トラボルタ
デビー・ワイルダー：オリビア・ニュートン＝ジョン
チャーリー：チャールズ・ダーニング
ビアズリー：オリヴァー・リード
ラス：ベアトリス・ストレイト
アール：スキャットマン・クローザース
スチュワート：リチャード・ブライト
スカッグス：アーニー・ハドソン
* 神：ジーン・ハックマン

本作は、その否定的な評価を反映して、第4回ゴールデンラズベリー賞において、最低作品賞、最低主演男優賞（ジョン・トラボルタ）、最低主演女優賞（オリビア・ニュートン＝ジョン）、最低監督賞（ジョン・ハーツフェルド）、最低脚本賞（ジョン・ハーツフェルド）の主要5部門全てにノミネートされています（いずれもノミネートに留まり受賞はしていません）。映画本体は商業的にも批評的にも振るいませんでしたが、そのサウンドトラックは多くの人々に愛され、対照的な結果を残した作品として記憶されています。

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