セガチャンネル

セガチャンネル：先駆けのゲーム配信サービス

セガチャンネルは、株式会社セガ・エンタープライゼス（後の株式会社セガゲームス、現・株式会社セガ）が1990年代に展開した、ケーブルテレビを利用したメガドライブ向けオンラインゲーム配信サービスです。1994年に日本と北米でサービスを開始し、欧州や南米にも展開されました。

サービス開始の背景

1988年に日本で、1989年に北米で、そして1990年までに欧州などでメガドライブが発売されました。当初、ゲームはカートリッジのみで提供されていましたが、セガは新たな配信方法を模索していました。1990年には、電話回線を利用した「メガモデム」と専用カートリッジ「ゲーム図書館」を発売し、ゲーム配信や通信対戦サービスを開始しました。しかし、当時の通信料金体系やダウンロードしたゲームを保存できない仕様がネックとなり、サービスは短期間で終了しました。

セガチャンネルの展開

セガは、ケーブルテレビの普及に着目し、1993年から東京ケーブルネットワークと共同で実証実験を行いました。その結果、サービス展開に問題がないこと、そして需要があることを確認し、1994年6月に有料配信サービスを開始しました。配信事業は、同年7月に設立されたセガ・デジタル・コミュニケーションズ（SDC）が担当しました。

北米では、日本に先駆けて1993年6月から実証実験を開始し、サービス開始時には家庭の70%がケーブルテレビに加入していました。サービスは順調に拡大し、多くのユーザーを獲得しました。

料金体系

日本でのサービス料金は事業者によって異なりました。例えば、仙台CATVではメガドライブと受信カートリッジのレンタル料金が月額3,000円、近鉄ケーブルネットワークではメガドライブの販売と受信カートリッジのレンタル料金が月額2,300円でした。北米では、平均して月額12.95ドルから15ドルに加えて、受信カートリッジ料金が月額25ドルでした。

動作の仕組み

メガドライブに受信カートリッジを接続し、ケーブルテレビの送信ケーブルと接続します。本体を起動すると、約30秒のロード画面が表示され、その後コンテンツを選択します。選択されたコンテンツは数分かけてダウンロードされ、受信カートリッジに内蔵された4MBのRAMに保存されます。ゲームの電源を切ると、データは消去されます。

配信データはCD-ROMに記録され、アメリカではコロラドのデンバーにあるテレコミュニケーションズのサテライトステーションに送られました。そこから信号が伝送され、ケーブルテレビ事業者がダウンロードします。

配信タイトル

日本では常時30タイトル、北米では当初50タイトル、後に70タイトルが用意され、定期的に入れ替えられました。『ソニック＆ナックルズ』、『エターナルチャンピオンズ』、『スペースハリアーII』などのセガのタイトルに加え、ライセンスタイトルも配信されました。中には、『スーパーストリートファイターII』のように、容量の関係で内容が削減されたタイトルもありました。

また、日本では『アースワームジム2』、北米では『パルスマン』や『ロックマンメガワールド』など、それぞれの地域でカートリッジとして発売されなかったタイトルも配信されました。

サービスの終焉

1995年初頭、セガはメガドライブの展開を終了し、セガサターンに注力することを発表しました。北米での契約者数は最盛期には250,000世帯でしたが、1997年には230,000世帯に減少。1998年7月31日にサービスは終了しました。

セガチャンネルの遺産

セガチャンネルは、サービス展開中に北米で高い評価を受けました。IGNの記者は、セガチャンネルが現代のブロードバンドインターネットの先駆けであり、多くのケーブルテレビ事業者が高速インターネットの開発に貢献したと評価しました。また、Xbox Live ArcadeやPlayStation Networkのような現代のゲーム配信サービスの発展に影響を与えたと称賛しました。

しかし、セガチャンネルの開始時期の遅れや高い料金設定を批判する意見もありました。もしセガチャンネルがメガドライブのライフサイクルにおいて、もっと早くリリースされていれば、異なる結果になったかもしれないという指摘もあります。

セガチャンネルは、成功と課題の両方を経験した、ゲーム史における重要な出来事でした。その技術と試みは、現代のオンラインゲームサービスに大きな影響を与え、ゲームの可能性を広げたと言えるでしょう。

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