セクショナリズム

セクショナリズムとは、組織内部における部門間の協力不足と、それぞれの部門が自己の権限や利益を過度に優先する排他的な傾向を指します。これは、官僚制における逆機能の一つとして認識されており、組織内部の専門性が過度に追求された結果として生じる機能障害とされています。しばしば「部局割拠主義」とも訳されるこの現象は、組織全体の効率性や円滑な運営を阻害する要因となります。

セクショナリズムの顕著な例として挙げられるのが「縄張り意識」や「派閥主義」です。これらの意識が強い組織では、各部門が担当する業務に対し、他の部門からの関与を極端に嫌う傾向が見られます。その結果、組織全体の利益や効率性を度外視し、自部門の都合のみを優先する行動が横行します。さらに、自部門の業務以外の事柄には関心が薄く、専門外の業務を避けようとする傾向も、セクショナリズムの特徴の一つです。専門外のことには無関心であり、知識も乏しいという状況も、この傾向を助長します。

近年では、セクショナリズムが組織の機能不全を引き起こす大きな要因として認識されるようになり、その解消に向けた取り組みが進められています。特に、組織横断的なプロジェクトチームの発足は、セクショナリズムを解消する効果的な手段として注目されています。この手法では、各部門から選抜されたメンバーが協力し、組織全体の課題解決に取り組みます。しかし、このプロジェクトチームにも課題があり、メンバーが通常業務とプロジェクト業務を兼務することによる過度な負担が問題視されています。このような状況は、プロジェクトの成功を妨げるだけでなく、参加メンバーのモチベーション低下にもつながりかねません。

また、広義のセクショナリズムとして、本来であれば自分に関係のある事柄であっても、他の担当者がいる場合には関与を避け、その一方で担当者の業務に対して無責任に非難や中傷を行うという行動も指摘されています。これは、責任回避の姿勢と、他者への攻撃性が組み合わさった結果であり、組織全体の協力体制を著しく損なうものです。

セクショナリズムは、組織の成長を阻害するだけでなく、個々の従業員のモチベーション低下にもつながるため、組織全体で積極的に解消に取り組む必要があります。そのためには、組織全体でのコミュニケーションの活性化や、部門間の壁を取り払うための施策が必要です。また、個々の従業員が組織全体の一員であるという意識を持ち、部門を超えた協力体制を築くことが求められます。

関連用語としては、官僚制、大企業病、貴族化（公家化）などが挙げられます。また、対義語として、インフォーマル・グループ、プロジェクトチーム、プロジェクト横断、製作委員会方式、音楽ユニットなどの、部門間の連携を重視する概念があります。

外部サイトでは、ソニーのウォークマンがネット時代に失敗した要因を分析した記事が、セクショナリズムの弊害について考察しています。これらの記事からも、セクショナリズムが組織にもたらす負の影響を学ぶことができます。

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