セクストゥス・ポンペイウス

セクストゥス・ポンペイウス：共和政ローマ末期の抵抗者

セクストゥス・ポンペイウス（紀元前67年 - 紀元前35年）は、共和政ローマ末期の軍人・政治家であり、第一回三頭政治の一角を担ったグナエウス・ポンペイウスの息子です。父の死後、元老院派の重要人物として、ヒスパニアを拠点にカエサルへの抵抗を続けました。

生涯

紀元前48年、父ポンペイウスがファルサルスの戦いでカエサルに敗北し、エジプトで暗殺されると、セクストゥスは海路でヒスパニアへと逃れました。ヒスパニアはかつて父がセルトリウスの乱を鎮圧した地であり、ポンペイウス派の支持基盤が根強かったのです。第一回三頭政治において、父はヒスパニア及びエジプト担当の属州総督として派遣される予定でした。

ヒスパニアには、カエサルのガリア戦争で副将を務め、ファルサルスの戦いではポンペイウス軍の騎兵を率いた名将ラビエヌスも合流しました。セクストゥスは兄グナエウス（小ポンペイウス）と共に、イベリア半島の原住民を味方につけて蜂起します。当初、戦いはポンペイウス軍に有利に進み、カエサル派の軍勢を次々と破りました。ポンペイウス派の勢力はイベリア半島全域に拡大しましたが、カエサル自身がヒスパニアに到着すると形勢は逆転し、ムンダの戦いで兄とラビエヌスは戦死、セクストゥスは生き残って大西洋沿岸部の山地へと逃れました。

カエサル暗殺後、セクストゥスはシチリアで再び蜂起しますが、ナウロクス沖の海戦でカエサルの後継者オクタウィアヌスの腹心アグリッパ率いる海軍に敗れ、勢力を失います。紀元前35年、ミレトスで捕えられ、処刑されました。

家族

セクストゥスはスクリボニア（紀元前55年 - 紀元前36年）という女性と結婚し、名前不詳の娘をもうけました。妻スクリボニアの父ルキウス・スクリボニウス・リボの姉妹は、後の初代ローマ皇帝アウグストゥスの2番目の妻であり、アウグストゥスとの間に大ユリアを儲けたスクリボニアです。

セクストゥス・ポンペイウスは、父の遺志を継ぎ、カエサルに抵抗した人物として、ローマ史に名を残しています。彼の生涯は、共和政ローマ末期の混乱と権力闘争を象徴するものと言えるでしょう。

関連項目

カエサル『ヒスパニア戦記』
ローマ内戦

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