三頭政治

三頭政治についての詳細

三頭政治（さんとうせいじ、ラテン語: triumviratus）は、共和政ローマの終焉と帝政への移行に伴って現れた政治体制で、特にその名は二回目に結成された三頭政治によく知られています。この体制は、3人の実力者が集まり支配権を分かち合う形式を取っていました。特に第一次三頭政治と第二次三頭政治の二つの時期に分かれ、それぞれ異なる背景と目的がありました。

第一回三頭政治

第一次三頭政治は紀元前60年に結成され、ガイウス・ユリウス・カエサル、グナエウス・ポンペイウス、マルクス・リキニウス・クラッススの三者によるものであり、彼らの協力は全く非公式の形で行われました。この時期、ポンペイウスはオリエントの征服から凱旋し、ローマ元老院との関係に対して不満を抱いていました。カエサルは彼の執政官当選を目指し、ポンペイウスやクラッススの利害を調整して、彼ら間の連携を強化しました。これにより3人は元老院に対抗するための勢力を形成しました。

カエサルはポプラレス（民衆派）の支持を得ており、ポンペイウスは軍事力を持っていました。クラッススは経済の要として彼らの連携が進められ、その結果、これら三者は元老院に対抗する形で権益を守ることに成功しました。しかし、様々な悲劇が彼らを襲います。紀元前54年、ポンペイウスの妻でカエサルの娘ユリアの死去、翌年のクラッススのパルティア遠征での敗北等がきっかけで三頭政治は崩壊の道をたどります。

その後、元老院はカエサルを排除するために動き、彼は紀元前49年に軍団を率いてローマに進軍し、内戦を引き起こしました。ポンペイウスは対抗しようとしましたが、紀元前48年にエジプトで暗殺され、カエサルは紀元前44年に暗殺されるという運命を迎えました。

第二回三頭政治

第二回三頭政治はカエサル暗殺後に形成され、カエサル派のガイウス・ユリウス・カエサル・オクタウィアヌス、マルクス・アントニウス、マルクス・アエミリウス・レピドゥスの三者によって設立されました。この期間は、三頭政治はただの非公式な関係から公的な権力の行使へと発展しました。特にこの三者は、カエサルの同志である彼の後継者として活動し、権力を確立するために相互に強力に結びついていました。

彼らは「国家再建三人委員会」として執政を行い、カエサルの暗殺者たちを次々と粛清していきます。しかし、この連携は元老院や共和派に対抗するための一時的なものであり、政敵を排除した後は互いの権力獲得を競うようになり、内部での対立が生じました。

フランス革命と執政政府

やがて、1799年のフランス革命の末期にはナポレオン・ボナパルトとエマニュエル＝ジョゼフ・シエイエスが設立した執政政府（統領政府）が形成されました。ナポレオン、カンバセレス、ルブランの3人による統治で、これもまた一時的な権力の集中を表していましたが、最終的にはナポレオンによる独裁体制へと移行しました。

このように、三頭政治やその後の類似する体制は、権力の集中とその維持のために緊密な協働を行いつつも、長期的には内部対立や権力の獲得を巡る競争を引き起こしたことがあげられます。また、その中から新たな権力構造が形成されていく過程は、いかに政治が流動的であるかを物語っています。

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