セスナ サイテーション・コロンバス

セスナ サイテーション・コロンバス (Model 850)

セスナ サイテーション・コロンバスは、セスナ社が2008年2月に発表したビジネスジェットの開発計画で、最大航続距離は7,400キロメートル（約4,000海里）を目指していました。このモデルは、サイテーションファミリーの中で最も大型化される予定でしたが、残念ながら2009年7月に計画はキャンセルされました。

開発の背景

セスナ社は、サイテーション・コロンバスの開発に向けて、2002年から市場調査や顧客の意見を基に、モックアップの制作を進めてきました。2006年10月にはNBAA大会でキャビンの広さを示すモデルが発表され、2008年2月6日に正式発表に至ります。当初、FAA（連邦航空局）の認証を2013年末までに取得し、2014年初頭からのデリバリーを予定していました。この機体は最大8名を乗せることができ、快適な移動を提供するデザインが施される計画でした。

計画の詳細

コックピットには、先進的な機器が搭載される予定で、合成視界システム（SVS）や自動スロットル機能が装備されることになっていました。また、選択可能な機能として、ヘッドアップディスプレイや乱気流予測を持つ多重スキャン気象レーダーも用意される見込みでした。

セスナ社は、この機体の開発に7億8000万ドルを投資する予定で、主要な部品の供給業者も確保していました。エンジンはプラット＆ホイットニー・カナダが担当し、電子機器はロックウェル・コリンズが供給することになっていました。翼、胴体、尾翼の各部分もそれぞれ専門の企業が手掛けることが決まっていました。

計画の中止

しかし、経済状況の影響を受け、セスナ社は2009年4月29日にサイテーション・コロンバスの開発計画を一時中断すると発表しました。その後、同社は5800人を超えるスタッフのうち約1600人をレイオフする方針も明かしました。最終的に700名の雇用を含む大規模な人員削減へと至り、同年7月8日にはSEC（証券取引委員会）に正式に計画のキャンセルを通報しました。その理由として、ビジネスジェット市場の動向に基づく追加的な分析結果が影響しているとされました。

テキストロンはキャンセルの影響で4300万ドルの損失が発生する見込みを示し、これに伴って想定されていた機械設備や開発費用の支出など、5000万ドルの経費が発生したとも報告しています。また、プラット＆ホイットニー・カナダはPW810エンジン計画を中止しつつ、PW800シリーズそのものは継続する方針を示しました。

仕様

以下はセスナ サイテーション・コロンバスの仕様です。

• - 乗員: 2名
• - 運べる乗客数: 最大8名（最大全体では10名）
• - 積載量: 885kg（1,950ポンド）
• - 全長: 23.5m
• - 全幅: 24.4m
• - 全高: 7.49m
• - 翼面積: 65.9 m²（709.3平方フィート）
• - 迎え角: 29.9度
• - 離陸滑走路長: 最大離陸重量で1,646メートル（5,400フィート）
• - エンジン: PW810Cターボファン2基（各39.3 kN）
• - 最大速度: 904 km/h（マッハ0.85）
• - 航続距離: 7,400 km（4,000海里）
• - 実用上昇限度: 13,716m（45,000フィート）
• - 上昇率: 27分で12,497m（41,000フィート）

こうした仕様が組み込まれたサイテーション・コロンバスは、大型ビジネスジェット市場において大きな可能性を持つモデルとして注目されていましたが、最終的に商業化には至りませんでした。その結果、開発の経過および市場状況における変化が、このプロジェクトの運命を大きく左右したと言えるでしょう。

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