セッションズ (映画)

映画『セッションズ』の概要

『セッションズ』（The Sessions、旧題: The Surrogate）は、2012年に公開されたアメリカのドラマ映画で、ベン・リューインが監督と脚本を務めました。本作は、ポリオによって首から下が麻痺した詩人マーク・オブライエンの実体験に基づいています。オブライエンが性の悩みを解決するためにセックス・サロゲートとのセラピーを受ける様子を描いており、男としての自分を受け入れ、愛と身体性を再発見する姿が印象的です。特に、主演のジョン・ホークスとヘレン・ハントの演技は高く評価され、第85回アカデミー賞でハントが助演女優賞にノミネートされました。

ストーリーの概要

マーク・オブライエンは、ポリオによって全身が麻痺し、38歳ながらも自分の言葉を駆使して詩を綴りながら、一人で生活しています。彼の生活は介護ヘルパーによって支えられていますが、これまで女性と積極的な関係を持ったことはありませんでした。ある日、性に関する悩みを抱えたマークは、医師の勧めでセックス・サロゲートを雇うことを決意します。しかし、その第一歩は簡単には踏み出せませんでした。マークは親しいブレンダン神父に相談し、自身の心の葛藤を打ち明けます。

セックス・セラピーを受けることにしたマークは、セックス代理人シェリルと初めて会います。彼女とのセッションでは、まず身体を意識するエクササイズを通じて心の壁を乗り越えようとしますが、色々な試みが空回りし、実際の性交渉には至りません。マークは徐々に不安を感じ始め、再び神父に相談することでさらなる言葉を得るものの、性行為への自己評価が低く、心の葛藤は続きます。

一方でシェリルは、マークの性の悩みは自己への厳しい評価や家族への罪悪感によるものだと分析します。回を重ねるうち、シェリルの助けにより、マークは自身を解放することができ、ついに初めての性的経験を果たします。この経験によりマークは一瞬の喜びを知りますが、その後愛の詩をシェリルに送ることで、彼女との関係がより深まっていくことに気づきます。しかし、その先には更なる現実が待ち構えていました。

登場人物たち

• - マーク・オブライエン：ポリオにより首から下を動かすことができない38歳の詩人。言葉を愛し、自らの体験を通じて性について学ぼうとする。
• - シェリル・コーエン＝グリーン：明るく気さくな性格のセックス代理人。マークに性に関する知識を優しく教える。
• - ブレンダン神父：マークの信頼する神父で、彼の悩みに寄り添い、助言をする。
• - ヴェラ：マークの介護ヘルパーで、彼を支える存在。
• - ジョシュ：シェリルの夫で、彼女の仕事に理解を示す人物。

この映画は、ただの性の探求ではなく、愛や人との関わり、そして自己受容に関わる深いテーマを扱っています。『セッションズ』は、詩的な言葉と心温まる人間ドラマを通じて、新たな人生の一歩を踏み出すことの大切さを教えてくれます。また、本作は2012年サンダンス映画祭で観客賞を受賞し、その後広く一般公開されました。

評価と影響

公開当初から『セッションズ』は高い評価を得ました。Rotten Tomatoesでは94%の支持率を記録し、Metacriticでも79点という高評価を得ています。観客からも多くの称賛を受け、特に主演のジョン・ホークスとヘレン・ハントの演技は際立ったものとされています。この映画は、観る者に思考を促し、愛や人間関係の本質について深く考えさせる作品となっています。

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