セバスティアン・イラディエル

セバスティアン・イラディエル（1809年1月20日 - 1865年12月6日）は、スペインの作曲家であり、特にハバネラの作曲家としてその名を知られています。本名はセバスティアン・デ・イラディエル・イ・サラベリ。彼は、パリの出版社からYradierという綴りを用いるよう求められました。バスク地方のアラバ、ランツィエゴの出身です。

生涯

イラディエルは幼い頃から音楽に親しみ、9歳でサンタ・マリア・デ・ビトリア大聖堂の旧附属教会の合唱団に入団。16歳でビトリアのサンミゲル教会のオルガニスト、その2年後にはサルバティエラ/アグラインのサンフアン・バウティスタ教会のオルガニストに就任しました。1833年にマドリードへ出て作曲を学び、王立音楽院でソルフェージュの教授となりました。この時期には、後にナポレオン3世の皇妃となるウジェニー・ド・モンティジョに歌を教えています。

イラディエルは非常に活動的な人物で、パリ、ロンドン、ロシア、ドイツ、ニューヨーク、キューバなど、各地を精力的に旅しました。生前は、貴族社会や芸術家の間で広く知られていました。1864年には、25曲を集めた作品集『スペインの花』がパリで出版されています。

晩年は目の病を患い、故郷のビトリアに戻り、1865年に56歳で生涯を閉じました。

音楽的功績

イラディエルは、ハバネラの作曲家として特に有名です。キューバ訪問後の1860年頃に作曲された『ラ・パロマ』は、彼の代表作として広く知られています。この曲はスペイン、アメリカ、メキシコで人気を博し、ハバネラの知名度向上に大きく貢献しました。

また、イラディエルのハバネラ『El arreglito』は、ジョルジュ・ビゼーがスペインの民族音楽と誤解し、オペラ『カルメン』の有名なアリア「恋は野の鳥」に流用したことでも知られています。さらに、エドゥアール・ラロも『スペイン交響曲』の第3楽章の旋律を、イラディエルのハバネラ『La negrita』から引用しています。

イラディエルの作品は、ハバネラというジャンルを超えて、クラシック音楽の世界にも影響を与えたと言えるでしょう。

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