セリアック病

セリアック病とは

セリアック病は、遺伝的素因を持つ人々に影響を及ぼす慢性的な自己免疫疾患で、グルテンを含む食品を摂取することが引き金になります。この病気は特に小腸にダメージを与え、その結果さまざまな症状を引き起こします。英語圏では「グルテン過敏性腸症」や「グルテン性腸症」とも呼ばれています。

疫学と原因

セリアック病の認識は、第二次世界大戦中にグルテン食との関連が指摘されたことで始まりました。この疾患は遺伝的な要素が強く、患者の家族内に同様の患者がいることが多いため、遺伝的要因が重要と考えられています。特に、HLA-DQ2またはHLA-DQ8という遺伝子が陽性である患者が非常に多いです。これは、セリアック病の発症と密接に関連しています。

欧米では成人の約1%、子供も含めると113人に1人がこの病気を持つとされ、特にアメリカでは大きな問題として扱われています。一方、日本では正確な罹患率はまだ確認されていませんが、診断の遅れが懸念されています。

病気のメカニズム

セリアック病の患者がグルテンを摂取すると、消化酵素で分解されないグルテン分子の一部が小腸の上皮細胞に侵入します。これに対し、免疫系が反応し、自身の小腸組織を攻撃し始めます。その結果、上皮細胞の炎症や絨毛の損傷が生じ、栄養素の吸収が困難になります。このプロセスにより、患者は栄養不足の状態に陥ることがあります。

症状

セリアック病は非常に多様な症状を引き起こします。消化器系の症状としては、腹部の膨満感や痛み、慢性的な下痢、脂肪便などがあります。さらに、消化管外には貧血や骨粗鬆症、糖尿病、小脳失調など、多岐にわたる問題が見られることがあります。

また、子供の場合には成長の遅れや無月経などもあり、これらの症状は他の多くの疾患と重なるため、診断が難しい場合もあります。その他の関連症状には、シェーグレン症候群や関節リウマチなどがあります。

診断方法

セリアック病の診断には、上部消化管内視鏡や病理組織診断が用いられます。内視鏡検査による感度はやや低いですが、特異度は非常に優れています。血清学的マーカーとしては、抗グリアジン抗体や抗筋内膜抗体、抗組織トランスグルタミナーゼ抗体（tTG）が使用され、これらの組み合わせによって高い精度で診断できます。

治療法

治療においては、現在のところ最も効果的とされているのは厳格なグルテンフリーの食事です。残念ながら、薬物による治療法は限られており、コルチコステロイドが使用されることもありますが、根本的な解決には至りません。

結論

セリアック病は、特にグルテンを摂取することで悪化する自己免疫疾患であり、適切な診断と治療が求められます。この疾患についての理解と認識を深めることで、患者の生活の質を向上させることができます。

もう一度検索