セリウムの同位体

セリウムの同位体

セリウム（Ce）は、周期表の中で特に重要な希土類金属の一つで、さまざまな産業や研究に利用されています。特に注意すべき点は、セリウムの同位体についてです。自然界に存在するセリウムの同位体は、主に安定同位体の136Ce、138Ce、140Ce、142Ceの4種類です。

安定同位体の特徴

これらのうち、140Ceが特に注目されており、その自然存在比はなんと88.48%を占めています。このため、セリウムの研究や利用において140Ceが中心的な役割を果たしています。他の同位体について見てみると、142Ceは非常に長い半減期（5×10^16年以上）を持っており、ベータ崩壊を2回繰り返すと考えられていますが、観測された例はありません。

136Ceと138Ceはそれぞれ安定しており、主に化学実験や放射線治療など幅広い用途に利用されます。また、セリウムの放射性同位体には27種類が同定されており、主に研究や医療用の放射線源として関心を集めています。その中で最も安定しているのは144Ceで、半減期は284.893日です。139Ceと141Ceも比較的安定した放射性同位体で、それぞれ137.640日と32.501日という半減期を有します。

短命の同位体

これ以外の放射性同位体は半減期が比較的短く、ほとんどが4日以内で、特に多くは10分以内に崩壊します。これにより、これらの同位体は主に研究目的や特定の工業用途に限定されることが多いです。さらに、セリウムには2つの核異性体が存在し、これらもまた研究対象として注目されています。

原子量について

セリウムの原子量は119から157の範囲にあり、標準的な原子量は140.116(1) uとされています。この特性はセリウムの化学的性質を理解する上で重要で、さまざまな化合物の形成や反応のメカニズムを解明する手助けとなります。

参考文献

本記事で扱った情報は、以下の参考文献に基づいています。

• - G. Audi, A.H. Wapstra, C. Thibault, J. Blachot, O. Bersillon. "Isotope masses from Ame2003 Atomic Mass Evaluation" in Nuclear Physics A729 (2003).
• - IUPAC Technical Report, "Atomic weights of the elements. Review 2000", Pure Appl. Chem. Vol. 75, No. 6, pp. 683-800, (2003).
• - 核および崩壊の特性に関する評価結果は、Audi, Bersillon, Blachot, Wapstraによる"The Nubase2003 Evaluation of Nuclear and Decay Properties" Nuc. Phys. A 729, pp. 3-128 (2003)を参照しています。
• - その他の情報はNational Nuclear Data Center、Brookhaven National Laboratoryなどの信頼性のあるデータベースより得られました。

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