セリエA (サッカー) 2004-2005

セリエA 2004-2005 シーズン概説

2004年から2005年にかけて開催されたイタリアのプロサッカーリーグ、セリエAのシーズンは、多くの点で記憶に残る特別なシーズンでした。これは、1929年に現在の全国単一リーグとして再編成されて以降、通算で73度目のトップディビジョンシーズンにあたります。このシーズンは、2004年9月11日に開幕し、翌2005年5月29日まで約8ヶ月間にわたり、激しい戦いが繰り広げられました。

このシーズンの最も大きな特徴の一つは、リーグの参加チーム数にありました。それまで18チーム制で運営されていたセリエAが、この2004-2005シーズンから53年ぶりとなる20チーム体制に拡大されたのです。これは1951-1952シーズン以来のことであり、リーグ全体の試合数が増加し、選手の体力的な負担やチームの総合力がより問われるシーズンとなりました。多くのクラブにとって、新たな形式への適応が求められる挑戦的な一年だったと言えるでしょう。

シーズンはインテルやACミラン、ユヴェントスといった強豪クラブが優勝争いを繰り広げる中、最終節まで熱戦が続きました。しかし、このシーズンの結末は前代未聞のものでした。シーズン終了後、イタリアサッカー界を揺るがす一大不正事件「カルチョ・スキャンダル」が発覚し、関連する司法判断が下された結果、この2004-2005シーズンの優勝チームは正式に「該当者なし」と裁定され、空位となったのです。これはセリエAの歴史上でも極めて異例な出来事であり、このシーズンを語る上で避けて通れない最大のトピックとなっています。

欧州カップ戦への出場権に関しても、いくつかの特筆すべき点がありました。まず、UEFAチャンピオンズリーグ出場権に加え、下位カテゴリであるUEFAカップ（現UEFAヨーロッパリーグ）、そして当時のUEFAインタートト杯への出場権が争われました。コッパ・イタリア2004-2005シーズンの優勝チームはインテルでしたが、インテルはリーグ戦の成績によって既にUEFAチャンピオンズリーグへの出場権を獲得していました。この場合、規定によりコッパ・イタリア優勝チーム枠のUEFAカップ出場権は、コッパ・イタリア準優勝チームであるASローマに与えられることになりました。

また、UEFAインタートト杯への出場権についても、順位によって割り当てられるはずだったチームの間で動きがありました。リーグ戦を7位で終えたメッシーナと、9位だったリヴォルノが、それぞれUEFAインタートト杯への出場を辞退するという選択をしました。これにより、UEFAインタートト杯の出場権は順位が繰り下がり、最終的に10位だったラツィオに与えられることとなりました。このように、欧州カップ戦の出場権を巡っては、リーグ戦の順位だけでなく、カップ戦の結果やチームの選択によって複雑な展開が見られました。

一方、セリエBへの降格を巡る争いも熾烈でした。下位チームは残留を目指し、最終節まで激しい戦いを繰り広げました。そして、シーズン終了後の順位に基づいて行われたセリエB降格を決定するプレーオフでは、ボローニャが敗戦。この結果、名門の一つであるボローニャがセリエBへ降格することが決定しました。

このシーズンでは、多くの優れた選手たちが活躍し、得点王のタイトルを巡る争いも展開されました。しかし、何と言ってもこの2004-2005シーズンは、53年ぶりの20チーム制への回帰という構造的変化と、それに続くカルチョ・スキャンダルによる優勝チームなしという前代未聞の結末によって、セリエAの歴史において特別な、そして波乱に満ちたシーズンとして位置づけられています。

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