セリフ (文字)

セリフとは

セリフ（英: Serif）は、タイポグラフィで使用される用語で、文字のストロークの端に位置する小さな飾りを指します。このセリフを持つ書体は、一般的にローマン体と呼称されます。一方で、セリフがない書体はサンセリフ（sans-serif）や、フランス語で「グロテスク」とも呼ばれることがあります。

セリフの成り立ち

セリフの概念は、古代イタリアの石刻文字から発展してきたと考えられています。このような歴史的な背景があるため、セリフは書体のデザインやスタイルにおいて重要な役割を果たしています。

語源について

セリフという言葉の語源は明確には確定していないものの、オックスフォード英語辞典（OED）によれば、サンセリフという用語が1841年に初めて登場したのに対し、セリフ自体は1830年に文献に現れています。OEDはセリフがサンセリフから名付けられた可能性があると推測しています。また、ウェブスター第三版新国際辞典では、セリフの語源をオランダ語の「schereef」から派生したとし、最終的には「書く」という意味のドイツ語「schreiben」およびラテン語「scribere」にまで遡ることができます。

グロテスクについて

「グロテスク」という言葉についても、OEDでは1875年に最初の言及があり、当初は「石刻文字」の同義語として使われていました。この場合の意味には「特異な」といったニュアンスが含まれており、美術の分野でも装飾的な意味合いで使用されることが一般的です。グロテスク以外にも、「ドーリック」や「ゴシック」といった関連する用語があります。

代表的なセリフ体

セリフ体には、さまざまなスタイルが存在します。以下にその主要なカテゴリーをまとめました。

オールド・フェイス

伝統的なデザインのセリフ体で、セリフ部分が三角形のブラケット形状を持っています。この書体は、縦線と横線の太さがほとんど同じ、もしくはわずかに差がある特徴があります。代表的なフォントには、Garamond（ギャラモン）、Palatino（パラティーノ）、Caslon（キャスロン）などがあります。

モダン・フェイス

モダン・フェイスは、セリフ部分が細い直線としてデザインされ、縦線が横線よりも明確に太いことが特徴です。このスタイルは近代的な印象を与えます。例としては、Bodoni（ボドニ）、Computer Modern（コンピュータ・モダン）、Didot（ディドー）が挙げられます。

トランジショナル

オールド・フェイスとモダン・フェイスの中間をなす書体で、両者の特徴を兼ね備えているのがトランジショナルです。代表的なファミリーには、Baskerville（バスカヴィル）、Times New Roman（タイムズ・ニュー・ローマン）、Century（センチュリー）が存在します。

スラブセリフ

この書体は、縦線と横線の太さがほぼ等しく、セリフが直線形状、さらにはストロークと同じ太さで構成されているのが特徴です。別名エジプシャンとも呼ばれ、代表的なものには、Egyptienne（エジプシャン）、Clarendon（クラレンドン）、Rockwell（ロックウェル）などがあります。

関連項目

セリフに関連する語彙としては、ローマン体や明朝体などがあり、それぞれ異なるデザイン哲学や歴史があります。このように、セリフおよびそれに関連する書体は、視覚デザインにおいて重要な位置を占めています。

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