セルズドン男爵

セルズドン男爵家：スコットランドの実業家から現代まで

セルズドン男爵位は、イギリスの貴族爵位の一つです。その歴史は、19世紀後半のスコットランドの実業家、ミッチェル・トムソン卿にまで遡ります。彼はエディンバラ大学の総長を務めた後、1900年に準男爵位を叙任されました。その後、母方の姓を加えてミッチェル=トムソンと改姓しています。

2代目の準男爵、ウィリアム・ミッチェル=トムソンは、政治家としての道を歩み、保守党の議員として活躍しました。スタンリー・ボールドウィン内閣では郵政大臣を務めた人物でもあります。庶民院議員を退任後、1932年にセルズドン男爵位を叙され、貴族院議員となりました。これがセルズドン男爵家の始まりです。

2代目のセルズドン男爵を継いだピーターは、レーサーとして名を馳せました。特に1949年のル・マン24時間レースでは優勝を果たし、その名を歴史に刻んでいます。

そして現在、3代目のセルズドン男爵であるマルコム・マッケンチャーン・ミッチェル=トムソンが爵位を継承しています。彼は保守党の政治家として活動し、1999年の貴族院法制定後も世襲貴族として貴族院に籍を置いています。現在、セルズドン男爵家の当主として、その歴史を繋いでいます。

セルズドン男爵家の系譜

セルズドン男爵家の歴史を、歴代当主と共に見ていきましょう。

準男爵位 (1900年創設):

初代: サー・ミッチェル・ミッチェル=トムソン (1846-1918)：スコットランドの実業家、エディンバラ大学総長。
2代目: サー・ウィリアム・ミッチェル=トムソン (1877-1938)：保守党政治家、郵政大臣。1932年にセルズドン男爵に叙せられる。

セルズドン男爵位 (1932年創設):

初代: ウィリアム・ミッチェル=トムソン (1877-1938)：上記の準男爵2代目と同一人物。
2代目: ピーター・ミッチェル=トムソン (1913-1963)：有名なレーサー。1949年ル・マン24時間レース優勝。
3代目: マルコム・マッケンチャーン・ミッチェル=トムソン (1937- )：現当主、保守党政治家。

現当主の息子、カラム・マルコム・マッケンチャーン・ミッチェル=トムソン閣下(1969-)が、次のセルズドン男爵の推定相続人となります。

セルズドン男爵家の歴史的意義

セルズドン男爵家は、スコットランドの産業発展に貢献した実業家から始まり、イギリスの政治、そしてモータースポーツの世界へと、その活躍の場を広げてきました。それぞれの世代がそれぞれの分野で成功を収め、イギリス貴族社会に大きな足跡を残しています。初代準男爵が30年もの間居住したビュート・ハウスも、その歴史を象徴する建物の一つです。1999年の貴族院改革後も、世襲貴族として存続するセルズドン男爵家は、イギリスの歴史と伝統を体現する存在と言えるでしょう。

参考文献:

『ルマン 伝統と日本チームの戦い』グランプリ出版 ISBN 4-87687-161-2

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