セルビア王国 (近代)

セルビア王国の概要

セルビア王国（Краљевина Србија）は、1882年から1918年にバルカン半島に存在した国家です。この国の前身は1817年に設立されたセルビア公国であり、王国としての独立を果たしてから数十年間にわたって地域の歴史に影響を与えました。

国歌と国家の重要性

セルビア王国の国歌は「Боже правде（正義の神）」で、1914年から国民に親しまれています。この曲は国民の団結を象徴し、国家のアイデンティティを強調しています。

歴史的背景

セルビア公国の成立と独立

セルビア王国の歴史は、露土戦争に参戦したことに起因します。戦争の結果、ベルリン条約によってセルビアはオスマン帝国からの完全独立を達成しました。1882年、オーストリア＝ハンガリー帝国の承認を受けて、セルビアは王政に移行し、王国として正式に認められました。この時期、国の独立と発展に向けた重要な一歩が踏み出されました。

政治の変遷と戦争

1885年、セルビアはブルガリアと東ルメリ自治州を巡って戦争を始めましたが、これに敗北し、翌年にブカレスト条約を結ぶことになりました。1903年には、王宮でアレクサンダル1世が暗殺される事件が発生し、これによって王位はカラジョルジェヴィッチ家のペータル1世に継承されました。ペータルは、オーストリアとの友好政策から脱却し、周辺国やロシアとの連携を強化しました。

バルカン戦争と第一次世界大戦

1912年にオスマン帝国に対する第1次バルカン戦争が勃発し、セルビアとその同盟国は勝利を収め、戦後はロンドン条約によってマケドニアを獲得しました。一方、ブルガリアとの間には第2次バルカン戦争が続き、再び国際情勢は複雑化しました。1914年にはサラエヴォ事件が発生し、オーストリア＝ハンガリー帝国のフランツ・フェルディナント大公が暗殺されたことで第一次世界大戦が勃発しました。セルビアは連合国側に参加しましたが、一時的に国家の存続を脅かされる時間が続きました。

戦争の終結とセルビア王国の消滅

戦争の最終局面では、アメリカの参戦を受けて連合国が勝利し、1918年にはオーストリア＝ハンガリー帝国が崩壊しました。その後、セルビア王国はモンテネグロ王国やクロアチア、スロベニアと合併し、セルビア人・クロアチア人・スロベニア人王国が成立しました。この新たな国家は後にユーゴスラビア王国に発展しました。

経済と社会

セルビア王国の経済は主に農業と畜産業に依存し、豚の飼育が特に盛んでした。これは、資本が農業に蓄積され、地域の名望家が誕生する要因にもなりました。しかし、工業化は遅れており、他国からの輸入に頼る傾向が続きました。このような経済の特性は、セルビアの社会構造にも影響を与えました。

歴代国王

セルビア王国の歴代国王には、オブレノヴィッチ家とカラジョルジェヴィッチ家の人物が名を連ねています。オブレノヴィッチ家のミラン1世とアレクサンダル1世は国を導き、カラジョルジェヴィッチ家のペータル1世も歴史的役割を果たしました。

結論

セルビア王国は、1882年から1918年にかけての約四十年間の間に、国としての独立を確立し、近代国家としての基盤を築いた重要な時代でした。痛みを伴った歴史と数多くの戦争を経て誕生したこの国は、周辺国との関係を見直しながら新たな国家形態へと進化しました。

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