セルマン・A・ワクスマン微生物学賞

セルマン・A・ワクスマン微生物学賞

セルマン・A・ワクスマン微生物学賞（Selman A. Waksman Award in Microbiology）は、微生物学の分野で特筆すべき貢献をした研究者を顕彰するために設立された由緒ある賞です。この賞は、アメリカ合衆国の科学分野における最高の栄誉を担う機関の一つである米国科学アカデミー（National Academy of Sciences, NAS）によって授与されます。

賞の名称は、土壌微生物学の研究で世界的に知られ、多くの抗生物質、特にストレプトマイシンの発見で1952年にノーベル生理学・医学賞を受賞した高名な微生物学者、セルマン・A・ワクスマン博士（Selman A. Waksman）に敬意を表して名付けられました。彼の微生物学、特に土壌微生物や抗生物質研究への多大な功績を記念し、その精神を次世代に継承することを目的に、1968年に創設されました。

本賞は隔年ごとに選考が行われ、受賞者にはその栄誉と共に20,000米ドルの賞金が贈られます。受賞対象となる研究分野は、微生物学の基礎から応用まで広範にわたり、微生物の分子生物学、生理学、遺伝学、生化学、生態学、病原性など、多岐にわたる領域での顕著な発見や革新的な成果が評価されます。

この賞が創設されて以来、微生物学の発展に大きく貢献した世界のトップレベルの研究者たちが受賞者に選ばれています。彼らの研究は、生命の基本的なメカニズムの理解を深めるだけでなく、感染症の治療法の開発、農業生産性の向上、環境問題の解決など、人類社会が直面する様々な課題への対処に不可欠な基盤を提供してきました。

以下に、これまでの受賞者の一部を年代順に示します。

• - 1968年: ジャック・ストロミンジャー
• - 1970年: E. R. Stadtman
• - 1972年: チャールズ・ヤノフスキー
• - 1974年: レナート・ドゥルベッコ
• - 1976年: Wallace P. Rowe
• - 1978年: Howard Green
• - 1980年: Julius Adler
• - 1982年: Irwin C. Gunsalus
• - 1984年: Purnell W. Choppin
• - 1986年: Harland G. Wood
• - 1989年: バーナード・デイビス
• - 1991年: Melvin I. Simon
• - 1993年: Boris Magasanik
• - 1995年: Ralph S. Wolfe
• - 1997年: カール・ウーズ
• - 1999年: R. John Collier
• - 2001年: Norman R. Pace
• - 2003年: Stanley Falkow
• - 2005年: ルーシー・シャピロ
• - 2007年: Richard M. Losick
• - 2009年: Jonathan Beckwith
• - 2011年: Carol A. Gross
• - 2013年: ジェフリー・ゴードン
• - 2015年: Susan Gottesman
• - 2017年: Bernard Roizman
• - 2019年: Sharon R. Long
• - 2021年: パスカル・コサール
• - 2023年: Nancy A. Moran
• - 2025年: Rotem Sorek

セルマン・A・ワクスマン微生物学賞は、微生物学研究のフロンティアを推進し、その重要性を広く認識させる上で、今後も継続的に影響力を持つ賞であり続けるでしょう。

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