セントジョージ礼拝堂 (ウィンザー城)

セントジョージ礼拝堂：英国王室の歴史と伝統が息づく場所

セントジョージ礼拝堂は、英国ウィンザー城内にある王室礼拝堂であり、ガーター勲章が授与される場所としても有名です。約800人を収容可能なこの礼拝堂は、現在も教会として機能しており、毎日3回以上の礼拝が行われています。礼拝では、英国王とガーター騎士団のために祈りが捧げられます。

王室の特別な教会

セントジョージ礼拝堂は、ウィンザー城内という立地にも関わらず、城の管理下にはありません。イングランド国教会に属しながらも、大主教や主教からは独立した存在です。この礼拝堂の聖職者の主な役割は、王室のための宗教儀式を執り行うことであり、キリスト教の伝道や改宗活動ではありません。聖職者は、王とガーター騎士団のために祈りを捧げることを唯一の法的義務としています。

ガーター騎士団との深い関係

1348年、エドワード3世によってセントジョージ礼拝堂は創設されました。同じ年に設立されたガーター騎士団は、この礼拝堂を主要な教会としています。毎年6月には、騎士団の特別感謝礼拝が執り行われます。ガーター勲章は国王のみが授与でき、受章者は国王、皇太子、重要な王族、友好国の君主を除き、わずか24人に限られています。

貧民騎士から軍人騎士へ

ガーター騎士団の創設時、エドワード3世は26人の「貧民騎士」を任命し、礼拝堂の運営を司祭と共に担当させました。19世紀になり、「貧民騎士」という名称が不適切とされたため、ウィリアム4世は彼らを「軍人騎士」と改名しました。当初、貧民騎士は礼拝堂で毎日礼拝を行い、ウィンザー城に居住する権利を得ていましたが、現在では退役軍人であるものの、経済的に困窮しているわけではありません。彼らは公式の場では、ガーター騎士団の護衛として礼拝堂に仕えています。

王室の結婚式と埋葬の地

セントジョージ礼拝堂は、多くの王室の結婚式を執り行ってきました。特に、ヴィクトリア女王の子供たちの結婚式は有名です。また、エドワード4世以降、多くの英国国王や女王がこの礼拝堂に埋葬されています。ジョージ6世記念礼拝堂には、ジョージ6世とその王妃エリザベス・ボーズ＝ライアン、長女のエリザベス2世と夫のエディンバラ公フィリップ、次女のスノードン伯爵夫人マーガレットが眠っています。


セントジョージ礼拝堂は、英国王室の歴史と伝統を今に伝える重要な場所です。その美しい建築と厳かな雰囲気は、訪れる人々を魅了し続けています。

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