セントトーマス (オンタリオ州)

カナダの鉄道都市、セントトーマス：歴史と交通の要衝

オンタリオ州南西部に位置するセントトーマスは、エルジン郡に属しながら独立した行政権を持つ都市です。人口は約3万7900人、面積は32.24平方キロメートル。古くからの歴史と、かつての鉄道の要衝としての栄光、そして現代的な交通網が調和する魅力的な都市となっています。

トーマス・タルボットと開拓の歴史

セントトーマスという地名は、19世紀初頭にこの地域の発展に貢献したトーマス・タルボットに由来しています。1810年には入植が始まり、2本の旧道の交差地点として発展の礎を築きました。1844年にはエルジン郡の郡庁所在地に指定され、1852年には自治体として認められました。そして、1881年に正式に市制が施行され、今日に至ります。

鉄道の都としての繁栄

19世紀後半から20世紀前半にかけて、セントトーマスは鉄道網の要衝として大きく発展しました。1856年の最初の鉄道敷設以降、実に26もの鉄道が市内を通るようになり、「カナダ鉄道の都」と呼ばれるまでになりました。多くの鉄道が行き交う活況は、この街の経済と社会を大きく発展させる原動力となりました。しかし、1950～60年代には鉄道の衰退が始まり、自動車製造業など新たな産業が台頭し、街の産業構造は変化を遂げました。

歴史的遺産：ジャンボの像

セントトーマスの歴史を語る上で欠かせないのが、1885年に当地で列車に轢かれて死んだ象、ジャンボです。その死から100年を迎えた1985年には、ジャンボの実物大の記念像が建立され、現在も人々の注目を集めています。この像は、セントトーマスの歴史と、鉄道という産業がもたらした栄枯盛衰を象徴する存在と言えるでしょう。

現代の交通網

現在、セントトーマスは、多様な交通手段が整備された都市です。

鉄道: VIA鉄道が運行し、カナダ国内各地とのアクセスを提供しています。かつての鉄道の都としての面影を今に伝えています。
バス: 市内を運行するセントトーマス交通は民間委託されており、市民の足として重要な役割を担っています。効率的な路線網で、市内をスムーズに移動できます。
* 空港: セントトーマス市営空港（IATAコード：YQS）はゼネラル・アビエーション空港として機能しており、カナダ国境警備隊による入国管理も可能です。小型機の利用に適した空港であり、地域経済の活性化に貢献しています。

まとめ

セントトーマスは、歴史と現代が調和する、魅力的な都市です。開拓の歴史、鉄道の栄光、そして現代の交通網。これらの要素が織りなす、独特の雰囲気は、多くの人々を惹きつけます。かつての鉄道の都としての面影を残しながらも、現代的な発展を遂げているセントトーマスは、カナダを代表する都市の一つとして、今後も発展を続けていくことでしょう。

もう一度検索