セント・ジョージ (バミューダ)

セント・ジョージ：アメリカ最古のイギリス植民地の歴史と魅力

バミューダ諸島に位置するセント・ジョージは、北米におけるイギリス植民地時代の重要な足跡を留める町です。1609年、バージニア植民地へ向かう船がバミューダ諸島に漂着したことから始まった歴史は、現在も街の景観や文化に色濃く反映されています。

歴史：偶然の漂着から始まった植民

1609年、バージニア植民地ジェームズタウンに向かう船団の一つが、ハリケーンに遭いバミューダ諸島に漂着。この偶然の出来事が、セント・ジョージの町の始まりとなりました。難破船の乗組員たちは、島に定住し、1612年には本格的な入植が始まりました。

初期の入植者たちは、悪天候から船を守るための入り江に町を建設。バージニア会社による支配を経て、1615年にはサマーズ諸島会社が設立され、バミューダの統治を行いました。セント・ジョージは、1815年までバミューダの首都として機能し、島の政治・経済の中心地として発展を遂げました。

アメリカ独立戦争や南北戦争においても、セント・ジョージは重要な役割を果たしました。弾薬の密輸や物資供給拠点として利用され、歴史の重要な転換点に関わってきたのです。

歴史的建造物の保存と現代の生活

セント・ジョージの大きな特徴の一つは、歴史的建造物の保存状況の良さです。17世紀から19世紀にかけて建てられた建物が数多く残っており、現代においても生活の場として活用されています。

電気やガス配管、電話線などは地中に埋められ、街灯も歴史的な様式を踏襲。狭い路地は、かつての姿をそのまま留めています。博物館だけでなく、住居、レストラン、パブ、商店など、歴史的建造物が様々な形で現代の生活に溶け込んでいます。

キングズ・スクエアには、タウンホールや観光サービス局などの公共施設に加え、かつてのさらし台や水責め椅子のレプリカも展示されています。これらの遺物は、セント・ジョージの歴史を物語る象徴的な存在です。

セント・ジョージ港内にあるオードナンス島には、難破船から作られた船の模型や、入植を指揮したジョージ・ソマーズの銅像が設置されています。また、1620年建設のオールド・ステイト・ハウスなど、多くの歴史的建造物が点在し、当時の様子を今に伝えています。

世界遺産登録と観光

1996年には、ジョージ・ソマーズの生誕地であるイギリスのライム・レジスと姉妹都市協定を結び、国際的な交流も盛んです。

セント・ジョージとその関連要塞群は、1996年にユネスコの世界遺産に登録されました。世界遺産登録基準(4)「人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例」に適合すると認められています。

セント・ジョージは、歴史的建造物と現代生活の調和が見事に保たれた、魅力的な観光地です。古都の歴史と息吹を肌で感じることができる、貴重な場所と言えるでしょう。

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