セント・フィリップ砦包囲戦 (1756年)

セント・フィリップ砦包囲戦：七年戦争におけるミノルカ島の攻防

セント・フィリップ砦包囲戦は、七年戦争中の1756年に勃発しました。フランス軍がイギリス領であったミノルカ島のセント・フィリップ砦を包囲し、最終的にイギリス軍を降伏させた戦闘です。イギリス国内では「ミノルカ陥落」または「ミノルカ包囲戦」として知られています。

包囲の経緯

フランス軍はリシュリュー公爵の指揮下、ミノルカ島に上陸し、セント・フィリップ砦に駐留するイギリス軍を包囲しました。イギリス本国からはジョン・ビング提督率いる救援艦隊が派遣されましたが、ミノルカ島沖での海戦でフランス艦隊に敗北。ビング提督はジブラルタルへ撤退を余儀なくされ、セント・フィリップ砦のイギリス軍は孤立無援の状態に陥りました。

長期にわたる包囲戦の後、イギリス軍はついに降伏を決意。このミノルカ陥落の責任を問われたビング提督は、帰国後、軍法会議で有罪となり銃殺刑に処されました。一方、この戦闘には、後に初代ニューサウスウェールズ州総督となるアーサー・フィリップも参加していました。

包囲されたイギリス軍の抵抗は勇敢であり、当時の慣習に従い、武装を保持したまま本国へ送還されるという名誉ある扱いを受けました。ウィリアム・ブレイクニー総督の奮闘は高く評価され、アイルランド貴族の爵位が授与されています。

包囲戦後

セント・フィリップ砦包囲戦の後、イアサント・ガエタン・ド・ランニオンがフランスの初代ミノルカ総督に任命されました。イギリス海軍は、ビング提督の後任としてエドワード・ホーク提督率いる艦隊をミノルカ島沖に派遣しましたが、フランス軍の上陸を阻止するには兵力が不足していました。ホーク提督はマルセイユ沖で3カ月間封鎖作戦を展開した後、帰国。しかし、海上封鎖によってフランス軍を兵糧攻めにすることができたにもかかわらず、それを怠ったとして非難されました。

フランスは終戦までミノルカ島を占領し続けましたが、この島は、フランスが終戦時に占領していた唯一のイギリス領でした。1763年のパリ条約によって、ミノルカ島はイギリスに占領されたグアドループ島との交換でイギリスに返還されました。その後、1781年にスペインによって占領され、そのままスペイン領となりました。

まとめ

セント・フィリップ砦包囲戦は、七年戦争におけるイギリスとフランスの勢力争いを象徴する出来事の一つです。この戦いの後、ミノルカ島の領有権は目まぐるしく変動し、最終的にスペイン領となりました。また、ジョン・ビング提督の悲劇は、当時のイギリス社会に大きな衝撃を与え、海軍の規律と責任の重要性を再認識させる出来事となりました。

関連項目

七年戦争下のイギリス

参考文献

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