セーフガードに関する協定

セーフガードに関する協定

概要

セーフガードに関する協定は、1995年に設立された世界貿易機関（WTO）の設立協定に含まれる重要な国際条約です。この協定は、国内産業が外国からの急増した輸入品によって損害を被るのを一時的に防ぐためのルールを定めています。特に、ある産品の輸入が急増した場合、国内の競争に影響を与えることが懸念されます。このような状況に対処するために、GATT（一般協定の関税及び貿易）第19条において特定の原則が示されています。

セーフガードの目的

セーフガードの目的は、特定の条件下で輸入品に対する緊急措置を講じ、国内生産者を保護することです。具体的には、関税の引き上げや輸入数量制限などの手段が採られます。しかし、この条項は基本的な枠組みだけを提供しており、実際の運用においては様々な問題が生じています。特に、損害の認定基準や発動期間に関する具体的なガイドラインが不足していることが指摘されています。

厳しい条件

セーフガード措置を発動するには、いくつかの条件を満たさなければなりません。具体的には、国内生産者が受ける「重大な損害」があることを証明する必要があり、そのための客観的な認定基準も必要とされます。このような条件があるため、実際に措置が発動されることは難しいという意見が存在します。この点において、各国の利害を調整することが求められています。

東京ラウンドでの交渉

1973年から始まった東京ラウンド交渉では、セーフガード措置について議論が行われました。発動要件や手続きの明確化、対抗措置への制限、選択的適用の可否など、多くの課題が取り上げられましたが、最終的には開発途上国と先進国の意見の対立が大きく、合意には至りませんでした。

ウルグアイ・ラウンド交渉

その後、1986年から始まったウルグアイ・ラウンド交渉において、セーフガードの問題が再度焦点に上がりました。この交渉では、セーフガードに関する協定が結論づけられ、主な論点や規定が取り決められました。特に協定の適用範囲や発動手続き、適用条件など具体的な策定が行われました。

1. 適用範囲

協定はGATT第19条に基づく措置のみを対象とし、他の特異なセーフガード措置を排除する形で運用されます。

2. 発動条件・手続き

国内生産者に「重大な損害」を与えるおそれのある状況に該当する場合、セーフガード措置が発動されます。その際の具体的な判定方法や手続きが明確にされ、利害関係者が意見を提出できる機会も設けられています。

3. 適用要件

セーフガード措置は、最長で4年、延長によって最大8年まで適用可能です。措置を適用する際は、段階的な緩和と構造調整の義務が求められています。

4. 選択的適用

選択的適用の問題については、EUが主張しましたが、多くの国が反対した結果、国別の輸入制限が可能とされた条件が導入されることになりました。

5. 対抗措置

セーフガード措置の影響を受ける国が対抗措置を取る権利が停止されるという合意も盛り込まれ、措置の発動が容易になるよう配慮されています。

6. 灰色措置

特定の措置がGATT上で明確な立場を持たない「灰色措置」に関しても、その規制や強化が求められることとなりました。

7. 国際監視体制

最後に、セーフガードに関する委員会が設置され、各国からの法令や措置の発動状況が通報され、国際的な監視機能が強化されることになりました。

まとめ

セーフガードに関する協定は、国際貿易において国内産業を守るための重要な枠組みを提供しています。これは、貿易の自由化に伴う影響を緩和し、各国の経済を安定させるために不可欠な条件を整備したものです。

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