ゼア・ゼア

ゼア・ゼア (There There) - レディオヘッド

「ゼア・ゼア」（英語: There There）は、レディオヘッドの楽曲。
正式タイトルは「ゼア・ゼア.（ザ・ボウニィ・キング・オブ・ノーホエア）」（There There. (The Boney King of Nowhere.)）だが、シングルやトリビュート盤では省略されることが多い。

概要

6thアルバム『ヘイル・トゥ・ザ・シーフ』に収録された先行シングル。全英シングルチャートで4位を記録。

エレクトロニカ路線だった前2作からの転換を図り、「ロックのダイナミズムへの回帰」を志向したナンバー。
ギター、ベース、ドラム、パーカッションといった楽器を使用。
パブリック・イメージ・リミテッドやカンのような前衛リズムロックの趣がある。

PVは、トム・ヨークが薄暗い森を彷徨い、黄金の靴に手を伸ばしたために森の一部になるという内容で、歌詞との親和性が高い。

制作背景

『ヘイル・トゥ・ザ・シーフ』制作時にトムが作成したデモ「Episcova」に収録されていた。

初期デモは9分近い長尺で、淡々とした曲だった。

短縮され、ツインヴォーカルパートが追加され、前半部とアウトロが明確化された。

オックスフォードのスタジオでバンドとしてデモを録音した際、トムはその出来栄えに涙したという。

その後、リスボンのライブで試験的に披露しながら、アレンジを重ね、現在の形に完成させた。

トムは、アルバム発売前に「ロック的な楽器を使ったラジオ向きポップソングになる」と語っていた。

しかし、『ゼア・ゼア』は、トムの発言や当時のメディアの報道とは異なり、『ザ・ベンズ』以前のような音楽性とは異なるものになった。

トムやメンバーは、あくまで「僕らなりのラジオヒットソング」という姿勢を崩さなかった。

サウンドプロダクション

複数台のタムタムが叩き出す呪術的なビートが特徴。

リムショットも効果的に使用されている。

前半は、独特なリズムのギターアルペジオと船舶の警笛のようなベースラインで、コード感が薄いまま進行。

ツインヴォーカルのコーラスでは、トムがファルセットで「難破を誘うセイレーンの歌声」を模し、エドが「Don't touch～」を担当。

中盤の「There There」のリフレインから後半にかけて新たなギターパートが追加され、リヴァーヴと歪みをきかせて進行。

タムタムの連打に戻って収束していく。

ライブでは、ドラムのフィルに加え、エドとジョニーもタムタムを叩き、トムを中心にトリプルパーカッションが繰り広げられる。

発表後、ライブでの定番曲となり、現在でもセットリストに組み込まれることが多い。

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