パブリック・イメージ・リミテッド
パブリック・イメージ・リミテッド（Public Image Ltd、略称PIL）は、1978年にジョン・ライドンによって結成されたイギリスのロックバンドです。セックス・ピストルズのボーカリストだったライドンが、音楽的な探求と実験精神を追求するために立ち上げました。
1978年、セックス・ピストルズを脱退したジョン・ライドンは、ジャマイカでの休暇を経て、レゲエに影響を受けた友人ジャー・ウォブル、元ザ・クラッシュのギタリストであるキース・レヴィンと共にPILを結成しました。ドラマーにはオーディションでジム・ウォーカーが選ばれました。同年12月、ヴァージン・レコードからファースト・アルバム『パブリック・イメージ』を発表。このアルバムは、従来のロックの枠にとらわれない、実験的なサウンドが特徴でした。
1979年11月には、セカンド・アルバム『メタル・ボックス』をリリース。ドラマーは交代し、デービッド・ハンフリー、リチャード・デュダンスキー、ウォブル、レヴィン、マーティン・アトキンスがドラムを担当しました。このアルバムは、金属製のボックスに3枚組のアナログレコードを収めた特殊な仕様で話題を呼び、その音楽性と共にPILの代表作とされています。しかし、リリース直後にはウォブルがバンドを脱退。自身のソロアルバムで、『メタル・ボックス』の音源を無断使用したことが問題となりました。また、アトキンスも一時解雇となります。
1981年、アトキンスを再加入させ、ベーシスト不在のままリリースされた『フラワーズ・オブ・ロマンス』は、民族音楽を取り入れた、より実験的なサウンドが特徴でした。その後、ライドンとレヴィンは『Commercial Zone』を録音しますが、意見の対立によりレヴィンが脱退。この音源は自主制作盤としてリリースされました。ライドンとアトキンスは『ジス・イズ・ホワット・ユー・ウォント』(1984)として別バージョンを発表。
その後、PILはライドンを中心とする流動的なプロジェクトとなり、1986年にはビル・ラズウェルをプロデューサーに迎え、坂本龍一、スティーヴ・ヴァイ、ジンジャー・ベイカーが参加したアルバム『ALBUM』を発表。1987年以降はパーマネントなバンド編成となり、『HAPPY?』(1987)、『9/ナイン』(1989)、『ザット・ホワット・イズ・ノット』(1992)とポップ路線を追求しました。しかし、1992年を最後に活動を休止しました。
2009年12月、イギリスでのミニツアーで活動を再開。2012年には20年ぶりとなる新作『ディス・イズ・PiL』を発表。ライドンは「レコード会社との契約が妨げとなり、リリースできなかった」と述べています。2022年11月には、創設メンバーであるキース・レヴィンが逝去しました。
現在のメンバー
ジョン・ライドン (John Lydon) - ボーカル、その他諸々 (1978年-1992年、2009年- )
ブルース・スミス (Bruce Smith) - ドラム、バック・ボーカル (1986年-1990年、2009年- )
ルー・エドモンズ (Lu Edmonds) - ギター、サズ(SAZ)、キーボード、バック・ボーカル (1986年-1988年、2009年- )
スコット・ファース (Scott Firth) - ベース、キーボード、バック・ボーカル (2009年- )
旧メンバー
キース・レヴィン (Keith Levene) - ギター、キーボード、その他諸々（1978年-1983年） ♰RIP.2022
ジャー・ウォブル (Jah Wobble) - ベース（1978年-1980年）
ジム・ウォーカー (Jim Walker) - ドラム（1978年）
ヴィヴィアン・ジャクソン (Vivian Jackson) – ドラム (1979年)
デービッド・ハンフリー (David Humphrey) – ドラム (1979年2月)
リチャード・デュダンスキー (Richard Dudanski) – ドラム (1979年4月-9月)
カール・バーンズ (Karl Burns) – ドラム (1979年9月)
マーティン・アトキンス (Martin Atkins) - ドラム（1979年-1980年、1982年-1985年）
スチュ・ニュー (Steve New) – ギター (1980年)
ケン・ロッキー (Ken Lockie) – キーボード (1982年)
ピート・ジョーンズ (Pete Jones) – ベース (1982年-1983年)
ジョン・マクゴー (John McGeoch) – ギター (1986年-1992年 ♰2004)
アラン・ディアス (Allan Dias) – ベース (1986年-1992年)
スタジオ・アルバム
『パブリック・イメージ』 - Public Image: First Issue (1978年)
ジャーマンロックの影響を受けた実験的なサウンド。
『メタル・ボックス』 - Metal Box (1979年)
金属製のボックスに入った3枚組LP。独特のベースとギターが特徴。
『フラワーズ・オブ・ロマンス』 - The Flowers of Romance (1981年)
民族音楽を取り入れたベースレス編成。
『ラブソング』 (1981年)
4曲入りシングル。
『ジス・イズ・ホワット・ユー・ウォント』 - This Is What You Want... This Is What You Get (1984年)
ディスコサウンドを取り入れた。
『ALBUM』 - Album (1986年)
ビル・ラズウェルプロデュース。坂本龍一らが参加。
『HAPPY?』 - Happy? (1987年)
ポップ路線に転換。
『9/ナイン』 - 9 (1989年)
ポップ路線第2弾。
『ザット・ホワット・イズ・ノット』 - That What Is Not (1992年)
ポップ路線第3弾。セックス・ピストルズの曲をサンプリング。
『ディス・イズ・PiL』 - This Is PiL (2012年)
『ホワット・ザ・ワールド・ニーズ・ナウ…』 - What The World Needs Now (2015年)
ライブ・アルバム
『P.I.L.パリ・ライヴ』 - Paris au Printemps (1980年)
『ライヴ・イン・TOKYO』 - Live In Tokyo (1983年)
AliFE (2009年)
Live at the Isle of Wight Festival 2011 (2011年)
『ロックパラスト1983』 - Live at Rockpalast 1983 (2012年)
Live at O2 Shepherd's Bush Empire (2015年)
コンピレーション・アルバム
Commercial Zone (1983年)
『グレイテスト・ヒッツ・ソー・ファー』 - The Greatest Hits, So Far (1990年)
Box (1990年)
Plastic Box (1999年)
Public Image/Second Edition (2003年)
Gold (2012年)
『ザ・パブリック・イメージ・イズ・ロットン（ソングス・フロム・ザ・ハート）』 - The Public Image is Rotten - Songs from the Heart (2018年)
日本公演
1983年 初来日公演
1985年
1987年
1989年
2011年 サマーソニック
2013年
2018年
PILは、常に変化と実験を繰り返しながら、音楽シーンに大きな影響を与えてきました。ジョン・ライドンのカリスマ性と、革新的な音楽性によって、今も多くのファンを魅了し続けています。
John Lydon.Com
Fodderstompf - An extensive PiL fansite
Adrian Sherwood speaks about PIL
Don Letts speaks about PIL
Pete Jones tells of his time as PiL bassist
* Keith Levene on PIL
結成と初期の活動
1978年、セックス・ピストルズを脱退したジョン・ライドンは、ジャマイカでの休暇を経て、レゲエに影響を受けた友人ジャー・ウォブル、元ザ・クラッシュのギタリストであるキース・レヴィンと共にPILを結成しました。ドラマーにはオーディションでジム・ウォーカーが選ばれました。同年12月、ヴァージン・レコードからファースト・アルバム『パブリック・イメージ』を発表。このアルバムは、従来のロックの枠にとらわれない、実験的なサウンドが特徴でした。
1979年11月には、セカンド・アルバム『メタル・ボックス』をリリース。ドラマーは交代し、デービッド・ハンフリー、リチャード・デュダンスキー、ウォブル、レヴィン、マーティン・アトキンスがドラムを担当しました。このアルバムは、金属製のボックスに3枚組のアナログレコードを収めた特殊な仕様で話題を呼び、その音楽性と共にPILの代表作とされています。しかし、リリース直後にはウォブルがバンドを脱退。自身のソロアルバムで、『メタル・ボックス』の音源を無断使用したことが問題となりました。また、アトキンスも一時解雇となります。
メンバーチェンジと音楽性の変遷
1981年、アトキンスを再加入させ、ベーシスト不在のままリリースされた『フラワーズ・オブ・ロマンス』は、民族音楽を取り入れた、より実験的なサウンドが特徴でした。その後、ライドンとレヴィンは『Commercial Zone』を録音しますが、意見の対立によりレヴィンが脱退。この音源は自主制作盤としてリリースされました。ライドンとアトキンスは『ジス・イズ・ホワット・ユー・ウォント』(1984)として別バージョンを発表。
その後、PILはライドンを中心とする流動的なプロジェクトとなり、1986年にはビル・ラズウェルをプロデューサーに迎え、坂本龍一、スティーヴ・ヴァイ、ジンジャー・ベイカーが参加したアルバム『ALBUM』を発表。1987年以降はパーマネントなバンド編成となり、『HAPPY?』(1987)、『9/ナイン』(1989)、『ザット・ホワット・イズ・ノット』(1992)とポップ路線を追求しました。しかし、1992年を最後に活動を休止しました。
活動再開と現在
2009年12月、イギリスでのミニツアーで活動を再開。2012年には20年ぶりとなる新作『ディス・イズ・PiL』を発表。ライドンは「レコード会社との契約が妨げとなり、リリースできなかった」と述べています。2022年11月には、創設メンバーであるキース・レヴィンが逝去しました。
メンバー
現在のメンバー
ジョン・ライドン (John Lydon) - ボーカル、その他諸々 (1978年-1992年、2009年- )
ブルース・スミス (Bruce Smith) - ドラム、バック・ボーカル (1986年-1990年、2009年- )
ルー・エドモンズ (Lu Edmonds) - ギター、サズ(SAZ)、キーボード、バック・ボーカル (1986年-1988年、2009年- )
スコット・ファース (Scott Firth) - ベース、キーボード、バック・ボーカル (2009年- )
旧メンバー
キース・レヴィン (Keith Levene) - ギター、キーボード、その他諸々（1978年-1983年） ♰RIP.2022
ジャー・ウォブル (Jah Wobble) - ベース（1978年-1980年）
ジム・ウォーカー (Jim Walker) - ドラム（1978年）
ヴィヴィアン・ジャクソン (Vivian Jackson) – ドラム (1979年)
デービッド・ハンフリー (David Humphrey) – ドラム (1979年2月)
リチャード・デュダンスキー (Richard Dudanski) – ドラム (1979年4月-9月)
カール・バーンズ (Karl Burns) – ドラム (1979年9月)
マーティン・アトキンス (Martin Atkins) - ドラム（1979年-1980年、1982年-1985年）
スチュ・ニュー (Steve New) – ギター (1980年)
ケン・ロッキー (Ken Lockie) – キーボード (1982年)
ピート・ジョーンズ (Pete Jones) – ベース (1982年-1983年)
ジョン・マクゴー (John McGeoch) – ギター (1986年-1992年 ♰2004)
アラン・ディアス (Allan Dias) – ベース (1986年-1992年)
ディスコグラフィー
スタジオ・アルバム
『パブリック・イメージ』 - Public Image: First Issue (1978年)
ジャーマンロックの影響を受けた実験的なサウンド。
『メタル・ボックス』 - Metal Box (1979年)
金属製のボックスに入った3枚組LP。独特のベースとギターが特徴。
『フラワーズ・オブ・ロマンス』 - The Flowers of Romance (1981年)
民族音楽を取り入れたベースレス編成。
『ラブソング』 (1981年)
4曲入りシングル。
『ジス・イズ・ホワット・ユー・ウォント』 - This Is What You Want... This Is What You Get (1984年)
ディスコサウンドを取り入れた。
『ALBUM』 - Album (1986年)
ビル・ラズウェルプロデュース。坂本龍一らが参加。
『HAPPY?』 - Happy? (1987年)
ポップ路線に転換。
『9/ナイン』 - 9 (1989年)
ポップ路線第2弾。
『ザット・ホワット・イズ・ノット』 - That What Is Not (1992年)
ポップ路線第3弾。セックス・ピストルズの曲をサンプリング。
『ディス・イズ・PiL』 - This Is PiL (2012年)
『ホワット・ザ・ワールド・ニーズ・ナウ…』 - What The World Needs Now (2015年)
ライブ・アルバム
『P.I.L.パリ・ライヴ』 - Paris au Printemps (1980年)
『ライヴ・イン・TOKYO』 - Live In Tokyo (1983年)
AliFE (2009年)
Live at the Isle of Wight Festival 2011 (2011年)
『ロックパラスト1983』 - Live at Rockpalast 1983 (2012年)
Live at O2 Shepherd's Bush Empire (2015年)
コンピレーション・アルバム
Commercial Zone (1983年)
『グレイテスト・ヒッツ・ソー・ファー』 - The Greatest Hits, So Far (1990年)
Box (1990年)
Plastic Box (1999年)
Public Image/Second Edition (2003年)
Gold (2012年)
『ザ・パブリック・イメージ・イズ・ロットン（ソングス・フロム・ザ・ハート）』 - The Public Image is Rotten - Songs from the Heart (2018年)
日本公演
1983年 初来日公演
1985年
1987年
1989年
2011年 サマーソニック
2013年
2018年
その他
PILは、常に変化と実験を繰り返しながら、音楽シーンに大きな影響を与えてきました。ジョン・ライドンのカリスマ性と、革新的な音楽性によって、今も多くのファンを魅了し続けています。
外部リンク
John Lydon.Com
Fodderstompf - An extensive PiL fansite
Adrian Sherwood speaks about PIL
Don Letts speaks about PIL
Pete Jones tells of his time as PiL bassist
* Keith Levene on PIL
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