ゼク・アイン

ゼク・アイン: ガンダムシリーズにおける汎用モビルスーツ

ゼク・アイン (XEKU-EINS) は、1987年から1990年の間に『モデルグラフィックス』誌に連載された小説『ガンダム・センチネル』で初めて登場した、架空の人型ロボット兵器モビルスーツ（MS）です。この兵器は「地球連邦軍」によって製造された量産機であり、敵対勢力である「ジオン公国軍」から接収された技術を活用しています。特徴的な頭部のモノアイカメラはジオン系MSの伝統を引き継いでおり、本機の設計は「ザクII」を参考にした、堅実な汎用機としての性格を持っています。

設計背景

ジオン公国軍が開発した「ザクII」は高い汎用性を誇っていましたが、グリプス戦役期のモビルスーツは大型化と大火力化が進み、その多用途性は損なわれていきました。そこで、ザクの設計思想を再導入し、次世代の汎用量産機を目指して開発が行われたのがゼク・アインです。「アイン」という名前はドイツ語で数字の「1」を意味し、ゼクシリーズの第一機でもあります。この機体は、ジオンのMS工廠である小惑星ペズンで設計され、ジオン系の技術が色濃く反映されています。

この機体には、各種兵装の装着が可能なラッチが設けられ、ミッションに応じて柔軟に兵装を変更できます。設計には、ペイロードに余裕があり、オプションの交換も容易に行えるよう工夫されています。コクピット周辺の重装甲化も施され、乗員の安全も重視した設計となっています。ゼク・アインの設計は、既存の技術を枠組みとして用い、高い完成度を誇りますが、実際にはペズン駐留の連邦軍教導団によって戦術データの蓄積用として使われ続けました。

兵装と機体性能

ゼク・アインは多様な兵装を組み合わせることにより、様々な任務に対応可能です。

1. 第1種兵装: 通常ビーム兵器携行仕様で、月面降下のために肩にプロペラント・タンクを装備可能。ビーム・ライフルも持ち運びます。
2. 第2種兵装: 長距離攻撃用の仕様で、左肩ラッチにディスク・レドームを搭載し、ビーム・スマートガンを装備。右肩はシールドなし。
3. 第3種兵装: 要塞戦仕様で、実体弾のマシンガンやバズーカを装備。マガジンドラムは約6000発を収納。

劇中では反乱部隊「ニューディサイズ」の主力MSとして運用され、様々な戦闘任務を遂行しました。

ゼクシリーズの発展

ゼク・アインから派生した機体には、ゼク・ツヴァイとゼク・ドライがあります。ゼク・ツヴァイは、より高火力・高機動性を重視した重MSとして設計され、特異な形状を持ちますが、艦載運用に関しては致命的な欠点を抱えています。一方、ゼク・ドライはゼク・アインのコンセプトに回帰したバランス重視の設計が目指されましたが、開発はペズンの乱により途中で中断されました。

立体化

ゼク・アインは2001年にHGUC 1/144スケールのガンプラとして立体化され、多くのファンに親しまれています。一方で、ゼク・ツヴァイは2016年に食玩シリーズから立体化されるまで、長い間立体化されませんでした。ゼク・ドライに至っては、2021年時点でも立体化が実現しておらず、ファンからの期待を集めています。

このように、ゼク・アインはその設計思想や兵器の特徴、及びその進化の過程を通じて、ガンダムシリーズの世界観の中で特別な存在となっています。

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