ソット・チタラダ

ソット・チタラダについて

ソット・チタラダ（Sot Chitalada、1962年5月5日生まれ）は、タイ王国出身の著名なプロボクサーであり、元ムエタイの選手です。彼はタイ国内では少数派であるムスリム出身の選手として、WBC世界フライ級王者に輝いた経歴を持っています。彼の生涯は、数々の成功と挑戦に彩られています。

来歴

チタラダは、プロボクシングに転向する前にムエタイ王者として名を馳せていました。1982年12月5日、彼はプロボクサーとしてデビューを果たし、ボクシング界への第一歩を踏み出しました。その後、1984年3月31日に5戦目で初めて世界タイトルに挑戦しますが、敵地韓国で行われたWBC世界ライトフライ級戦では、王者の張正九に12回判定負けを喫し、王座獲得には至りませんでした。

しかし、同年10月8日、8戦目で再度世界挑戦を果たした彼は、WBC世界フライ級王者のガブリエル・ベルナルに挑み、12回判定勝ちを収めました。これが彼のキャリアにおける転機となり、王座を手に入れることになります。その後、彼は6度の防衛に成功し、特に1988年1月31日の試合は日本での唯一の防衛戦であり、神代英明との戦いで7回TKO勝ちされたことが記憶されています。この試合は、井岡弘樹が初防衛戦を行ったこともあり、ダブル世界タイトルマッチとして日本のボクシング史に名を残しました。

しかし、チタラダの王座防衛はそこで止まらず、1988年7月4日、無敗の挑戦者金容江との戦闘で12回判定負けし、王座を失います。続いて1989年6月3日、金との再戦で12回判定勝ちを収め、王座を取り戻しました。その後4度の防衛を成功させ、1990年11月24日には6年前に敗れた張と再戦し、リベンジを果たしました。

しかし、1991年2月15日の5度目の防衛戦で同国人ムアンチャイ・キティカセムに6回TKOで敗れ、再び王座を失います。さらに1992年2月28日、対キティカセムとの再戦でも9回TKO負けに終わり、これを最後に彼は引退を決意しました。

人物

ソット・チタラダはその実力だけでなく、個性でも知られています。1989年頃、彼のジムに武者修行に来た総合格闘家の平直行によると、チタラダは試合前以外の練習を怠けがちだったと言います。朝遅くにジムへ来て、サンドバッグを一発打ってはすぐに帰ってしまうような練習スタイルだったようです。平はまた、彼がタイで人気の歌手と親しい関係にあったことも目撃しており、女性と浮名を流すことも得意だったと語っています。

実際の試合前のスパーリングでは、彼はスピードやパワーだけでなく、絶妙な距離感を駆使してパートナーを巧みに翻弄し、平を感心させました。この経験から「本当に天才っているのだな」と平は思ったと述べています。

チタラダのボクシングキャリアは短い時間であったものの、その中で数々のタイトルを獲得し、特にタイのボクシング界において重要な存在の一人として今も語り継がれています。

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