金容江

金容江（キム・ヨンガン）は、1965年1月3日に大韓民国・全羅南道和順郡で生まれた元プロボクサーです。彼はWBCおよびWBAの世界フライ級王座に就き、リングマガジン世界同級王座も獲得した実力者として知られ、そのキャリアは1980年代後半から1990年代半ばにかけて展開されました。

1985年4月6日にプロデビューを果たし、4回KO勝利でそのキャリアをスタートさせました。キャリア初期は順調に勝ち星を重ね、デビューからわずか11戦目となる1987年1月17日には韓国ライトフライ級王者となりました。さらに同年12月11日、プロ15戦目で東洋太平洋ボクシング連盟（OPBF）ライトフライ級タイトルを獲得。翌1988年2月20日にはこの王座の初防衛にも成功しています。

東洋太平洋王座を保持したまま、金は1階級上のフライ級で世界に挑みました。1988年7月24日、プロ17戦目で無敗のまま、当時のWBC世界フライ級チャンピオン、ソット・チタラダ（タイ）に挑戦。強豪相手に12ラウンドの激闘を繰り広げ、判定で勝利を収めました。これにより、金は17戦無敗という輝かしい記録とともに世界王者の座を手にしたのです。世界タイトル獲得に伴い、保持していたOPBF王座は返上しました。

世界王者となった金は、防衛戦でもその実力を示しました。1988年11月12日には、フィリピン出身のエミール松島を相手に初防衛に成功。続いて1989年3月5日には、日本の強豪であるレパード玉熊の挑戦を退け、2度目の防衛を果たしました。しかし、1989年6月3日に行われた3度目の防衛戦で、ベルトを奪った相手であるソット・チタラダと再び対戦。雪辱を期すチタラダに12回判定で敗れ、王座を失いました。この敗戦は、金のプロキャリアにおける初めての黒星でもありました。

世界王座陥落後、金は再起を図りますが、1989年11月25日の再起戦で元WBC世界ライトフライ級王者である同胞の李烈雨に10回判定負けを喫し、連敗となりました。しかし、その後2連続でKO勝利を収め、再起の狼煙を上げました。勢いに乗った金は、続く試合で階級を上げ、2階級制覇を目指すこととなります。1990年9月29日、WBA世界スーパーフライ級王者として圧倒的な強さを誇っていたカオサイ・ギャラクシー（タイ）に挑戦したのです。しかし、この試合は金のキャリアで最も厳しいものとなり、6回にKOで敗れました。これは金の生涯全試合を通して唯一のKO負けでした。

スーパーフライ級挑戦失敗後、金は再びフライ級に戻しました。そして1991年6月1日、WBA世界フライ級王者だったエルビス・アルバレス（コロンビア）に挑戦。12回判定の末に勝利し、約2年ぶりに世界王座への返り咲きを果たしました。WBA王者として、金は再び2度の防衛に成功し、安定した強さを見せました。しかし、1992年9月26日に行われた3度目の防衛戦で、アキレス・グスマン（ベネズエラ）に12回判定負けを喫し、再び世界王座を失いました。

WBA王座を失ってから、金はプロのリングから約2年間遠ざかることとなりました。長いブランクを経て、1994年9月25日に突如復帰。いきなり世界挑戦という形でリングに戻ったのです。対戦相手は当時のWBA世界フライ級王者、セーン・ソー・プロエンチット（タイ）でした。しかし、長期間のブランクの影響か、金は12回判定負けとなり、3度目の世界王座獲得はなりませんでした。この試合の後、1995年3月25日にノンタイトル戦を行い、10回判定勝ちを収めたのを最後に、現役を引退しました。

金容江のプロキャリアは、二つの主要団体の世界フライ級王座に就いたことが特筆されます。17戦無敗での初戴冠、そして一度王座を失いながらも再び世界王座に返り咲くという粘り強さを見せました。生涯唯一のKO負けは階級を上げたカオサイ戦のみであり、フライ級では常に世界のトップクラスで戦い続けた、韓国ボクシング史に名を刻む選手です。

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