ソッピース トライプレーン

ソッピース トライプレーン（Sopwith Triplane）

ソッピース トライプレーンは、第一次世界大戦中にイギリスのソッピース・アヴィエーション社によって設計・製造された単座戦闘機です。機体は1917年の初めにイギリス海軍航空隊に配備され、その特異な形状と性能からパイロットたちに「トライプハウンド（Tripehound）」と呼ばれる愛称で親しまれました。トライプレーンは短期間での運用の後、主に練習機として利用されることとなりました。

設計と開発

トライプレーンの設計は、ソッピース・アヴィエーション社の自主的なプロジェクトとして始まりました。胴体と尾翼は先代機であるパップのデザインを引き継いでいましたが、主任設計者のハーバート・スミスによって、パイロットの視界を改善する目的で主翼に小さな翼弦の3枚の翼を採用しました。各翼には補助翼が装備されており、また水平尾翼は可変の取付角により、自動的に飛行中のバランスを保つ工夫がされていました。

1917年2月には、水平尾翼の幅を8フィートに変更して昇降舵の反応を向上させる改良も行われました。エンジンは初期に110馬力のクレルジュ9Zが使用されましたが、多くの生産型では130馬力のクレルジュ9Bが搭載されることになります。1916年5月にはトライプレーンの試作型が初飛行を果たしましたが、その際、パイロットのハリー・ホーカーは離陸後の空中で宙返りをするなど、高い操縦性を実証しました。

生産と運用

1916年7月から1917年1月にかけて、海軍省はソッピース社に95機、クレイトン＆シャトルワース社に46機、オークレー社に25機の契約を結びましたが、オークレー社は経験がなかったため、わずか3機しか生産できず、その後契約は解消されました。トライプレーンの生産台数は最終的に147機に達しました。

1916年12月には海軍第1飛行隊においてトライプレーンの運用が開始され、1917年2月にフランスで本格的な活動が始まりました。この戦闘機は、上昇力と高空性能において優れた特性を持っており、当時のドイツのアルバトロス D.IIIに対抗する強力な機体として評価されました。

戦歴とエースパイロット

特に514飛行隊のレイモンド・コリショータイは、「ブラック小隊」として知られる部隊でトライプレーンを駆使し、短期間で87機の敵機を撃墜しました。コリショー自身も34機をこの機体で撃墜し、トライプレーンの名を不動のものとしました。強力な性能はドイツ側にも影響を及ぼし、一時的に他国の航空機メーカーも三葉機の開発に踏み切るほどでした。

引退とその後

しかし、難しい修理作業や急降下時の翼の破損など、トライプレーンにはいくつかの欠点が指摘され、実戦での運用は短命となりました。1917年の終わりには、残ったトライプレーンは海軍第12飛行隊で高等練習機として使用されました。

現在、現存するソッピース トライプレーンはわずか2機で、軍用機としてはN5912が知られています。一方でその人気からレプリカの製作も行われ、多くの博物館や個人での熱心な保存活動が続けられています。特に「シャトルワース・コレクション」では、非常に忠実な複製が製作され、現代においてもその魅力は色褪せていません。

トライプレーンは、単なる戦闘機ではなく、その歴史や技術的革新が航空機の発展に寄与した重要な機体であり、今なお多くの人々に愛されています。

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