ソナチネアルバム

ソナチネアルバムとは

ソナチネアルバムは、主に古典派の作曲家が手がけたソナチネやピアノソナタの中から、中級程度の演奏技術を要する作品を集めた曲集です。これらの作品は、ピアノ学習者にとって、技術的な基礎を固め、音楽的な表現力を養うための重要な教材として、長年にわたり活用されています。

代表的なソナチネアルバム

特に有名なのは、ケーラー（Louis Köhler, 1820-1886）とルートハルト（Adolf Ruthardt, 1849–1934）が編集し、ドイツのペータース社（C. F. Musikverlag）から出版された「Sonatinen Album ISBN 979-0014006723」です。この曲集は、ピアノ教育の現場で広く採用されており、多くの学習者にとって、最初に触れるソナチネ集の一つとなっています。

また、初版や初期の楽譜に基づいた日本語版として、今井顕校訂の「ソナチネ アルバム 第1巻、第2巻」（全音楽譜出版社）があります。この版は、原典版に忠実な校訂がされており、学習者にとって信頼できる楽譜として定評があります。

その他のソナチネアルバム

「ソナチネアルバム」という名称の楽譜集は、他にも数多く存在します。以下に代表的なものをいくつか紹介します。

ディアベリのソナチネアルバム（ディアベリ 作品151-1～4、作品168-1～7）
ツェルニーのソナチネアルバム（ツェルニー 作品163-1～6、作品49-1、2）
クレメンティのソナチネアルバム（クレメンティ 作品36-1～6、作品4-1～6）
クラウス・ヴォルタース編 ベーレンライター原典版 ソナチネアルバム 1、2

これらのアルバムは、それぞれ異なる選曲や編集方針を持っており、学習者のレベルや目的に合わせて選ぶことができます。

ソナチネアルバムの構成

一般的なソナチネアルバムは、ソナチネやソナタの他に、バッハやヘンデルなどのバロック音楽、ロンドや変奏曲などの小品、また、交響曲や弦楽四重奏曲からの編曲版なども含まれています。これにより、学習者は幅広い時代の音楽に触れ、多様な音楽様式を学ぶことができます。

収録曲の例（ケーラー＆ルートハルト版）

以下に、ケーラー＆ルートハルト版「Sonatinen Album」に収録されている代表的な曲の一部を紹介します。

第1巻

クーラウ：ソナチネ Op.20, Op.55
クレメンティ：ソナチネ Op.36
ハイドン：ピアノソナタ Hob. XVI:35
モーツァルト：ピアノソナタ K.545
ベートーヴェン：ピアノソナタ Op.49
J.S.バッハ：前奏曲 BWV 846
その他、ロンド、アンダンテ、スケルツォなど、様々な小品

第2巻

クーラウ：ソナチネ Op.55, Op.88
クレメンティ：ソナチネ Op.37, Op.38
ベートーヴェン：ソナチネ Anh.5
ディアベリ：ソナチネ Op.151
J.S.バッハ：小前奏曲、ブーレ、インヴェンション
その他、変奏曲、メヌエット、ロンド、歌曲からの編曲など

ソナチネアルバムの種類

ソナチネアルバムには、様々な出版社や編集者による版が存在します。以下に代表的なものを挙げます。

ケーラー版
ルートハルト版
全音楽譜出版社版
今井顕校訂版（全音楽譜出版社）
学習研究社版（田丸信明校訂）
音楽之友社版
河合楽器製作所版

これらの版は、それぞれ校訂や解説の内容、収録曲の選定などに違いがあります。学習者は、自身のレベルや目的に合わせて適切な版を選ぶことが大切です。

ソナチネアルバムの学習効果

ソナチネアルバムは、ピアノ学習者にとって、以下のような様々な学習効果が期待できます。

基礎的な演奏技術の習得: 指の訓練、音階やアルペジオの練習、リズム感の養成など、ピアノ演奏に必要な基礎技術を効率的に習得できます。
音楽的な表現力の向上: 様々な楽曲を通して、フレーズ感、強弱、テンポ、音色など、音楽的な表現力を磨くことができます。
楽曲分析能力の育成: 楽曲の形式や構成、和声などを分析することで、楽曲の理解を深め、より豊かな演奏表現へとつなげることができます。
幅広い音楽スタイルの理解: 古典派を中心とした様々な作曲家の作品に触れることで、幅広い音楽スタイルを理解し、音楽に対する知識と視野を広げることができます。

ソナチネアルバムは、ピアノ学習者にとって、技術と音楽性をバランスよく養うための貴重な教材です。この曲集を丁寧に学習することで、ピアノ演奏の基礎を固め、より高度な音楽表現へとステップアップすることができるでしょう。

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