ソビエト連邦の憲法

ソビエト連邦憲法の変遷

ソビエト連邦の憲法は、その歴史を通じて3つの主要な憲法が存在しました。これらの憲法は、ソビエト連邦の国家体制と社会構造を定める基本法であり、時代の変化とともに改正されてきました。

1924年憲法

1924年に制定された最初のソビエト連邦憲法は、ロシア共和国の1918年憲法をモデルとしています。この憲法は、連邦を構成する各共和国の憲法の基礎となり、ソビエト連邦成立初期の政治的枠組みを規定しました。

1936年憲法（スターリン憲法）

1936年に制定された憲法は、一般に「スターリン憲法」として知られています。この憲法では、労働者階級による指導が強調され、ソビエト連邦共産党の政府と社会に対する指導的役割が明記されました。また、資産の社会的所有が堅持され、ソビエト（評議会）体制が統治機構として位置づけられました。外見上は西側の憲法と類似した部分も見られますが、実際には共産党による一党独裁体制を強化する内容でした。

1977年憲法（ブレジネフ憲法）

1977年に制定された憲法は、「ブレジネフ憲法」と呼ばれています。この憲法も、労働者階級の指導と共産党の指導的役割を継承し、社会主義的な経済体制を維持しました。また、この憲法下でもソビエトは統治機構として機能しましたが、実際には共産党の支配が強固なものでした。

各憲法の共通点と相違点

これらの憲法には、いくつかの共通点が見られます。まず、労働者階級の指導が強調されている点です。後の2つの憲法では、共産党の指導的役割が明確に宣言されました。また、すべての憲法で資産の社会的所有が堅持されています。さらに、ソビエト（評議会）体制が統治機構として位置づけられている点も共通しています。

しかし、各憲法には相違点も存在します。例えば、スターリン憲法では共産党の指導的役割がより明確にされ、ブレジネフ憲法では社会主義的な経済体制がより強調されています。これらの違いは、それぞれの憲法が制定された時代の政治状況とイデオロギーを反映しています。

憲法の規定と現実

ソビエト連邦の憲法は、外見上は言論の自由、結社の自由、信教の自由などの政治的権利や、経済的権利、社会的権利を規定し、議会は定期的な選挙によって選出されるとされていました。しかし、実際には共産党の指導的役割が憲法で保障されていたため、国家や社会のすべての政治的決定は共産党によって行われる一党独裁制でした。そのため、憲法の規定と現実の間には大きな乖離が見られました。

ペレストロイカとソビエト連邦の崩壊

1980年代後半のペレストロイカ（改革）は、ソビエト連邦の政治と社会に大きな変化をもたらしました。この改革は、民主主義の拡大を促進し、ソビエト連邦の崩壊につながる要因となりました。ソビエト連邦憲法の変遷は、ソ連の歴史、政治、社会を理解する上で非常に重要な資料と言えるでしょう。

関連事項

ロシア革命 - 十月革命
プロレタリア独裁 - 前衛党
* 働かざるもの食うべからず

もう一度検索