ソビエト連邦共産党中央委員会

ソビエト連邦共産党中央委員会：最高意思決定機関の変遷

ソビエト連邦共産党中央委員会（略称: ЦК КПСС、英語: CC CPSU）は、ソビエト連邦共産党（以下、ソ連共産党）における最高意思決定機関でした。党大会の間に党と政府の活動を指揮する役割を担っていましたが、その権限と機能は時代とともに大きく変化しました。

名称

ロシア語での正式名称はЦентральный комитет Коммунистической партии Советского Союзаです。ラテン文字ではTsentralniy Komitet Kommunistitcheskoi Partii Sovetskogo Soyuzaと表記されます。ЦК（ツェーカ）という略称も頻繁に使用されました。

役割の変遷

党中央委員会の委員は、5年ごとの党大会で選出され、政治局の委員や書記局の書記、さらには党書記長を選出する役割を担っていました。1919年から1952年までは、政治局と組織局も中央委員会総会によって選出されていました。

しかし、実際には、中央委員会の権限は会議の開催頻度の低さや党員の多さによって制限され、政治局が実質的な権力を握っていました。中央委員会は、政治局の決定を承認するための形式的な機関として機能することが多かったと言えます。会議は年に2度、1～2日程度開催されるのみで、主要な出来事の前に特別な本会議が開かれる程度でした。

スターリン時代

1917年から1934年頃までは、中央委員会は政治的な議論の場としての役割を果たしていましたが、ヨシフ・スターリンによる大粛清（1934年～1939年）によって、多くの反対者が粛清され、中央委員会の役割はほとんど存在しなくなりました。

フルシチョフ時代

1953年のスターリンの死後、集団指導体制を経て、中央委員会は本来の機能を取り戻し始めました。ニキータ・フルシチョフの活動においては、重要な役割を果たしました。1957年には、幹部会（政治局の改名）によるフルシチョフ解任の決定を覆し、フルシチョフへの支持を集めました。しかし、フルシチョフ自身も1964年に解任されました。

ゴルバチョフ時代

1985年3月には、中央委員会はミハイル・ゴルバチョフを次の党書記長に選出するという画期的な決定を下しました。これは、改革派のゴルバチョフと強硬派のヴィクトル・グリシンとの間で、わずか1票差という僅差での選出でした。

1991年8月クーデターの失敗により、ソ連共産党は解散・消滅し、中央委員会もその役割を終えました。

中央委員会の政治機構

党書記局は中央委員会の中央機構として、党の成長と戦略の実現を担当しました。書記局の委員は中央委員部の業務を監督し、中央委員部長は書記よりも低い地位にありました。さまざまな委員部が中央委員会の機構を構成し、党の構築や幹部の業務は、ノーメンクラトゥーラ制によって管理されました。

1989年以前の中央機構は、経済に対しても責任を負っていましたが、ペレストロイカの過程で、市場経済への移行を促進するために、これらの部門は廃止されました。

中央委員会部局

中央委員会には、事務局の他に20以上の部門別直属部局が設置されていました。これらの部局は、それぞれの分野における党の政策立案や、関連分野の政府各省庁の指導・監督に重要な役割を果たしました。

総務部
組織・党活動部
宣伝部
国際部
軍事部（陸海軍政治総本部）
経済部
事務局

など、多岐にわたる部局が存在しました。

1988年に設置された委員会

1988年の中央委員会総会では、以下の6つの委員会が新設されました。

法律委員会
農業委員会
イデオロギー委員会
党・人事委員会
社会・経済委員会
* 国際政策委員会

これらの委員会は、従来の部局の一部の業務を委任され、書記局の機関も半減されることが想定されましたが、委員会と部局の実務上の関係は不明確な点も多くありました。

ソビエト連邦共産党中央委員会は、その設立から解散まで、ソ連の政治体制において重要な役割を果たしました。その権限、組織、そして時代ごとの変遷は、ソ連の歴史を理解する上で欠かせない要素と言えるでしょう。

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