ソビエト連邦暦

ソビエト連邦暦とは

ソビエト連邦暦（またはソビエト革命暦）は、1929年10月1日から1940年6月27日まで、ソビエト連邦で用いられた暦法です。グレゴリオ暦に代わるものとして導入されましたが、1931年の改定を経て廃止され、再びグレゴリオ暦が採用されることとなりました。

概要

週5日制の導入

ロシア革命後、ウラジーミル・レーニンはユリウス暦からグレゴリオ暦への改暦を実施しました。これは、1918年2月1日から13日までの日付を飛ばすことによって実現しました。

レーニンの死後、ヨシフ・スターリンによる独裁体制が強化される中で、ソビエト連邦政府は1929年10月1日に「ソビエト連邦暦」を新たに採用しました。この暦法では、グレゴリオ暦の1月から12月までの月はそのまま残しましたが、宗教的な要素を排除するため、7日周期の曜日を廃止し、5日周期の週が導入されました。さらに、日曜日を休日とすることも廃止されました。

5つの曜日はそれぞれ、黄曜日、桃曜日、赤曜日、紫曜日、緑曜日と色の名前で呼ばれ、国民全員にいずれかの曜日が割り当てられました。各人は、自分の曜日が休日となる仕組みでした。

また、以下の祝日が全国民共通の祝日として定められました。これは、1918年12月2日に制定された祝日を整理・改変したものでした。

革命の日：1月22日
1905年の血の日曜日事件（ロシア第一革命）発生日
前日の1月21日はレーニンの命日（1924年死去）であり、これも悼む日
国際労働者の日（メーデー）：5月1日、及びその翌日の5月2日の2日間
プロレタリア革命の日（十月革命記念日）：11月7日、及びその翌日の11月8日の2日間

この暦法は、国民の休日を増やし（7日周期よりも5日周期の方が休日が多くなる）、生産設備が完全に停止する日曜日を廃止し、毎日80%の労働力で生産を行うことで生産効率を上げることを目的としていました。しかし、実際には生産効率は全く向上しませんでした。工場の機械が24時間稼働し続けることになったため、メンテナンスのための休止ができなくなり、故障が頻発したのです。さらに、家族間で休日が異なることで社会生活に支障が出たため、この暦法は国民に不評でした。

週6日制への移行

1931年夏、ソビエト政府はスターリンの指示に基づき、ソビエト連邦暦に週6日制を導入しました。公式には12月1日からこの改定が実施されました。この暦法では、毎月第6日、第12日、第18日、第24日、第30日を国民共通の休息日とし、週5日制で問題となっていた家庭内の休日統一や工場機械の休止を実現しようとしました。第31日は労働日とされましたが、一部の商店や政府機関では休日となりました。

2月には30日がないため、3月1日が休日とされましたが、一部の工場では2月25日から3月5日まで9日間（閏年だった1932年、1936年、1940年は10日間）連続の労働日となりました。曜日の名称は「第1日」から「第6日」と単純化され、31日は何曜日でもない一日となりました。

休日は週5日制のものが踏襲され、1936年にはソビエト憲法（スターリン憲法）が制定された12月5日が追加されました。この6日周期の週は、7日周期の週よりも休日が多かったにもかかわらず、やはり不評でした。ソ連の工場では、週6日制のソビエト連邦暦で休日を設定する場所と、従来のグレゴリオ暦で休日を設定する場所が混在していました。

この週6日制は10年間続けられましたが、ソ連政府は最終的にソビエト連邦暦を廃止し、1940年にグレゴリオ暦による週7日制に統一されました。

「月30日制」の誤解

1929年のソビエト連邦暦導入時、アメリカの『タイム』誌はこの暦について、「フランス革命暦にならい、1月から12月までの全ての日数を30日とし、残りの5日（閏年は6日）は月と月の間にどの月にも属さない休日として加えられる『究極の暦』」と報じました。1930年には政府の委員会が「ソビエト革命暦」としてこの方式の導入を検討しましたが、政府はグレゴリオ暦を続ける他のヨーロッパ諸国との整合性を考慮し、この方式を採用しませんでした。

もし導入されていた場合、どの月にも属さない5日（6日）は以下の通りとなっていたでしょう。

レーニンの日：1月30日の翌日（計1日）
レーニンの命日は1月21日
労働の日：4月30日の翌日、及びその翌日（計2日）
翌日が5月1日のメーデー
産業の日：11月7日の翌日、及びその翌日（計2日）
11月7日は十月革命記念日
閏日：（閏年のみ）2月30日の翌日

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