ソフィア・ヤブロンスカ

ソフィア・ヤブロンスカ（1907年5月15日 - 1971年2月4日）は、オーストリア＝ハンガリー帝国領のヘルマニウ（現在のウクライナ領）で生まれ、ウクライナ人作家・写真家として活躍しました。彼女の生涯は、激動の20世紀前半の歴史と深く結びついています。

生い立ちと初期の生活

ギリシャ正教の司祭の娘として生まれたヤブロンスカは、第一次世界大戦の影響で、家族とともにロシア帝国のタガンログへ逃れることを余儀なくされました。その後、共産主義に不満を抱いた家族はガリシア（現在のポーランド）へ帰還。ヤブロンスカは、リヴィウでポーランド語教師養成機関に通い、演劇コースにも参加しました。リヴィウ商業アカデミーでも1年間学び、その後は兄の経営する映画館を手伝うためテルノーピリへと移ります。

パリでの生活と世界への旅

20歳でフランス・パリへと渡ったヤブロンスカは、女優を目指しながら自由奔放な生活を送ります。友人の勧めでモロッコを訪れたことをきっかけに、写真と旅行日記を制作。1931年にはフランスの会社と契約し、世界を旅する仕事を得ます。この時期に、フランスの植民地を中心に、写真や映像制作に精力的に取り組みました。

結婚と中国での生活

フランス人ジャン・オーディンとの結婚後、ヤブロンスカは3人の子供をもうけ、中国で15年間生活しました。この時期の経験は、彼女の作品に大きな影響を与えました。

文筆活動と晩年

旅先から送った紀行文や写真がウクライナの雑誌に掲載されたことがきっかけで、ヤブロンスカはウクライナ語での著書を出版するようになります。これらの作品は、ポーランド語には翻訳されたものの、西ヨーロッパでは注目されませんでした。1950年代にはパリとノワールムティエ島で建築関係の仕事に従事。不慮の交通事故により、その生涯を閉じました。

没後の再評価

ヤブロンスカの作品は没後、フランス語に翻訳され、再評価が進んでいます。彼女の紀行文は、異文化への好奇心と、自身のルーツに対する深い思索に満ちており、現代においても多くの読者を魅了しています。

主な作品

『魅惑の年：短編集』（L’année ensorcelée: Nouvelles, 1972年）
『モロッコの魅力』（Le charme du Maroc, 1973年）
『モロッコの魅力』（Der Charme von Marokko, 2020年） - ウクライナ語からの重訳、旅行記
『遠い地平線』（Les horizons lointains, 1977年）
『ウクライナでの私の子供時代：父に関する回想』（Mon enfance en Ukraine: Souvenirs sur mon père, 1981年）
『米とアヘンの国で』（Au pays du riz et de l'opium, 1986年）
『世界一周旅行』（Reise um die Welt, 1939年） - 旅行記

参考文献

オレナ・ハレタ『小説の代わりに：現代ウクライナ文学の歴史におけるソフィア・ヤブロンスカの旅行記』（Olena Haleta: Instead of a Novel: Sophia Yablonska’s Travelogues in the History of Modern Ukrainian Literature, 2020年）
『ウクライナ百科事典』（Yablonska, Sofiia, 1993年）

外部リンク

オルガ・ホッホヴァイス「ソフィア・ヤブロンスカ：「モロッコの魅力」。未知の魅力」、ドイツランドフンク・クルトゥール、2020年11月

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