ソフトウェア事前審査機構

ソフトウェア事前審査機構（USK）について

概要

ソフトウェア事前審査機構（USK）は、ドイツにおいてコンピュータゲームの倫理的な審査を担当する公的な機関です。この機関は、2003年に施行された「青少年保護法」を基に設立され、連邦青少年有害メディア審査会の監督下にあります。USKは、映画や映像ソフトに関連する倫理審査を行う機関であるFSK（映画業界自主規制機構）と同様の役割を果たしています。

USKの設立は、2002年のエアフルト事件を背景にしています。この事件では、犯人が人気ゲーム『カウンターストライク』に没頭していたことが報じられ、ゲームに対する社会の関心が高まり、倫理審査機関の必要性が認識されることになりました。それを受けて、USKはその年の青少年保護法施行と同時に設立されました。

USKは、EU圏内で販売されるゲームに対し、法的拘束力を持つレイティングを提供しており、ドイツではPEGI（汎欧州ゲーム情報）よりもUSKのレイティングが優先されています。これにより、ドイツでは、特定の基準を満たさないゲームは販売されないことになります。

審査環境の変化

近年、USKを取り巻く環境は大きく変わっています。2010年代後半からは、暴力や犯罪に関する表現だけでなく、日本のギャルゲーに見られる性的描写に対する審査が厳しくなり、いくつかのタイトルが発売禁止となる事例が増えてきました。具体的には『クリミナルガールズ2』や『VALKYRIE DRIVE -BHIKKHUNI-』など、性的な表現を含むゲームが審査を拒否され、ドイツ国内での流通が禁止されました。

レイティングと年齢制限

USKの年齢制限は、CEROやESRBとは異なり、法的な拘束力を持つため、対象年齢に達していない者にゲームを提供した場合、刑事罰が科されることになります。レイティングの種類は以下のように分類されています：
1. 全年齢対象（白） - 教育用ソフトや音楽ゲームなどが許可されます。
2. 6歳未満提供禁止（黄） - 軽度の暴力表現が含まれる場合もあります。
3. 12歳未満提供禁止（緑） - 軽度から中度の暴力表現があります。
4. 16歳未満提供禁止（青） - 直接的な暴力表現が含まれます。
5. 18歳未満提供禁止（赤） - 残虐性や露骨な性表現が強調されています。

USKによって審査を拒否されたゲームは、流通のみならず、ダウンロード販売も禁止されます。

表現規制

ドイツにおいては、ゲームがオリジナルの内容から修正されることが一般的です。例えば、『Bioshock』では出血量や人体欠損の描写がカットされ、『Carmageddon』では歩行者がロボットに置き換えられるなどの修正が施されています。このような表現規制は、ゲームがドイツ国内で発売されるための前提条件となっています。

結論

USKは、ドイツにおけるコンピュータゲームの倫理審査を担い、青少年を保護する重要な機関として機能しています。近年の変化に伴い、ゲームの内容や表現に対する監視が強化されており、USKの規制は今後も厳格であり続けると考えられます。

もう一度検索