ソマリア・シリング

ソマリア・シリングとは

ソマリア・シリング（Somali Shilling）は、アフリカ東部に位置するソマリアの法定通貨です。通貨コードはSOSで表記されます。

歴史

モハメド・シアド・バーレ政権下では、大量の紙幣印刷が行われた結果、ソマリア・シリングの価値が大幅に低下し、深刻なインフレーションを引き起こしました。その後、ソマリア内戦によって無政府状態に陥り、中央銀行が機能停止したため、1991年を最後にソマリア・シリングの発行は停止されました。

この発行停止後、米ドル、エチオピア・ブル、ケニア・シリングなどの外貨が国内で流通するようになりました。しかし、興味深いことに、ソマリア・シリングの発行が停止されたことで、かえってインフレ率が抑えられ、周辺国の通貨よりも価値が高くなるという現象が見られました。そのため、発行停止から20年以上が経過した現在でも、ソマリア国内ではソマリア・シリングが広く使用されています。

偽札問題

ソマリア・シリングには、偽札の問題も存在します。特に1996年を発行年とする偽札が海外の業者によって大量に持ち込まれた事例があります。しかし、通常の取引では、1991年以前に発行された紙幣のみが使用されることが一般的です。

新紙幣発行計画と流出

近年、ソマリアでは新紙幣の発行計画がありました。新紙幣はスーダン国内で印刷されていたとされていますが、2023年にスーダンで発生した紛争の影響で、10000、20000、50000シリングの紙幣がハルツームの路上に散乱し、正式な発行よりも前に紙幣が流出するという事態が発生しました。

世界で最も価値の低い通貨の一つ

米外交専門誌「フォーリン・ポリシー」は、2007年6月12日版において、ソマリア・シリングを、北朝鮮のウォン、ベネズエラのベネズエラ・ボリバル、イラクのイラク・ディナール、ジンバブエのジンバブエ・ドルと共に、世界で最も価値が低い通貨の一つとして選定しました。

現在の状況

ソマリア・シリングは、現在もソマリア国内で広く利用されていますが、その価値は変動しやすく、また偽札問題も抱えています。新紙幣の発行計画が頓挫したことで、今後の動向が注目されます。

関連情報

ソマリランド・シリング: ソマリアから独立を宣言したソマリランド共和国で用いられている通貨です。

参考文献

高野秀行『謎の独立国家ソマリランド そして海賊国家プントランドと戦国南部ソマリア』本の雑誌社, ISBN 978-4-86011-238-7

外部リンク

ソマリア

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