ソユーズ18号

1975年、ソビエト連邦は有人宇宙ミッション「ソユーズ18号」を実施しました。これは、同年に軌道上にあった宇宙ステーション「サリュート4号」を訪れる、2番目にして最後の有人フライトとなりました。このミッションには、司令官のピョートル・クリムクと、フライトエンジニアのヴィタリー・セバスチャノフの2名が搭乗しました。彼らは、この滞在を通じて、当時のソビエト連邦における最長宇宙滞在記録（63日間）を塗り替えるという顕著な成果を達成しました。

ミッションの背景と目的

ソユーズ18号の乗組員は、1975年4月に打ち上げに失敗した「ソユーズ18a号」ミッションのバックアップクルーでした。彼らは、失敗したミッションの目的を引き継ぎ、先行する有人ミッションである「ソユーズ17号」がサリュート4号で開始した一連の作業を継続・発展させることを目指しました。具体的な目的としては、ステーションの運用維持、様々な科学実験の実施、そして長期宇宙滞在が人体に与える影響の研究などが含まれていました。

軌道上の活動

クリムクとセバスチャノフを乗せたソユーズ宇宙船は、1975年5月24日にバイコヌール宇宙基地から打ち上げられ、順調に軌道に到達しました。打ち上げから2日後の5月26日には、サリュート4号との自動ドッキングに成功し、乗組員はステーションへと移りました。

ステーションに入った乗組員は、まず機器の整備から始めました。分光計の修理や、気体分析器の交換、そして水再生システムのポンプを改良型に切り替える作業などを行い、ステーションの機能を維持・向上させました。

その後、多岐にわたる科学実験が開始されました。5月末には、生物学および医学に関する実験が集中的に行われ、植物を栽培する「オアシスガーデン」プロジェクトも開始されました。6月初旬には、恒星、惑星、そして地球とその大気に関する研究が行われ、地球の様子を捉えた写真が約2000枚、太陽の観測写真が約600枚撮影されたと記録されています。6月以降も、さらなる医学実験や、タマネギなどの植物育成、さらには昆虫を用いた実験などが継続されました。これらの活動は、長期宇宙滞在における人間の適応能力、生命維持技術、そして微小重力環境下での生物の振る舞いを理解する上で重要なデータを提供しました。

記録の達成と同時運用

ソユーズ18号のミッションは長期にわたり、6月23日には、ソユーズ17号の乗組員が樹立したソビエト連邦のそれまでの宇宙滞在記録を更新しました（当時の世界記録は、アメリカのスカイラブ4号乗組員による84日間でした）。

ミッションが後半に差しかかった7月3日には、ソユーズ18号の運用が、間もなく開始される国際協力ミッション「アポロ・ソユーズテスト計画」と並行して続けられることが発表されました。二つのミッションの管制が重複しないよう、ソユーズ18号は古いクリミアの管制センターから、アポロ・ソユーズテスト計画で打ち上げられるソユーズ19号はカリーニングラードの管制センターからそれぞれ管制されることになりました。これはソビエト連邦にとって初めて、互いに直接関連しない二つの有人宇宙ミッションを同時に運用する経験となりました。

アポロ・ソユーズテスト計画の宇宙船は7月15日と16日にそれぞれ地球を出発し、ソユーズ18号の乗組員は、軌道上でソユーズ19号のアメリカ人およびソビエト人宇宙飛行士と短いながらも2度にわたり交信する機会を得ました。この期間中、ソユーズ18号の2名とソユーズ19号の5名、合計7名が同時に宇宙空間に滞在することとなり、これは1969年のソユーズ6号、7号、8号によるミッションで樹立された「宇宙に同時に7人滞在」という記録に並ぶものとなりました。

ミッション終了後

最終的に、ソユーズ18号の乗組員は合計63日間の宇宙滞在を終え、地球に無事帰還しました。アポロ・ソユーズテスト計画のアメリカ人宇宙飛行士が7月24日に地球に帰還して以降、1981年4月12日にスペースシャトル「コロンビア」が打ち上げられるまでのおよそ6年間、有人宇宙飛行はソビエト連邦が主導する時代が続くことになります。

ソユーズ18号ミッションは、長期宇宙滞在技術の確立、サリュート4号における科学研究の深化、そして歴史的な同時運用経験という点で、ソビエト連邦の宇宙開発史において重要な一ページを飾るフライトとなりました。

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