ソユーズ2号

ソユーズ2号のミッション

ソユーズ2号は、1968年10月25日に旧ソビエト連邦によって打ち上げられた無人宇宙船です。このミッションは、1967年のソユーズ1号で発生した悲劇的な事故を受けて一時中断されていた有人宇宙飛行計画を再開するための、重要な一歩として位置づけられていました。

有人飛行再開への道のり

ソユーズ1号の事故は、ソビエトの宇宙開発プログラムに大きな衝撃を与えました。この苦境を乗り越え、再び宇宙飛行士を安全に軌道へ送り出すためには、宇宙船自体の信頼性を向上させるとともに、宇宙での運用技術、特にランデブー・ドッキングといった高度な操作の習熟が不可欠でした。そのため、事故後、ソ連は有人ミッションに先立ち、複数の無人宇宙船を用いた試験飛行を重ねました。

これらの試験は「コスモス」衛星として実施され、自動での軌道上ランデブーおよびドッキングの技術検証が進められました。コスモス186号と188号は、世界で初めて無人宇宙船同士の自動ドッキングを成功させ、続くコスモス212号と213号も同様の実験を繰り返して技術の確実性を高めました。そして、有人飛行再開に向けた最終的な機体確認として、コスモス238号が無人試験飛行を行いました。これらの段階的な試験飛行を経て、いよいよ次のステップとして、無人の目標機ソユーズ2号と、1名の宇宙飛行士が搭乗する有人機ソユーズ3号による、軌道上でのドッキングリハーサルが計画されたのです。このミッションの最大の目的は、自動による接近に加え、宇宙飛行士自身が手動でドッキング操作を行う能力を実証することにありました。

ミッションの経過とドッキングの試み

1968年10月25日、最初のステップとして無人のソユーズ2号がバイコヌール宇宙基地から打ち上げられ、地球周回軌道に乗りました。その翌日、宇宙飛行士ゲオルギ・ベレゴヴォイを乗せたソユーズ3号が、ソユーズ2号を追跡する形で打ち上げられました。

軌道上で、ソユーズ3号は自動誘導システムを用いてソユーズ2号への接近を開始しました。両機は順調に距離を詰め、最終的には数キロメートルの近距離まで自動でランデブーすることに成功しました。ここから先は、ゲオルギ・ベレゴヴォイ飛行士による手動操作で、最終的なドッキング機構の結合を目指す計画でした。

ドッキング失敗とその要因

しかし、この手動によるドッキング操作は成功しませんでした。失敗の主な原因はいくつか指摘されています。一つは、ドッキング試行時に両機が地球の影に入り、視覚的に目標機であるソユーズ2号を捉えることが極めて困難な状況であったことです。暗闇の中での手動操作は非常に難易度が高く、さらに地上管制からの十分な視覚的な補助や情報提供が得られなかったことも、状況を悪化させました。

ベレゴヴォイ飛行士は暗闇の中で目標までの正確な距離や相対速度を見誤り、ドッキングのために必要な姿勢制御用の燃料を過剰に消費してしまいました。この燃料不足が決定的な要因となり、両宇宙船は最終的にドッキングすることはできませんでした。

ミッションの結末

ドッキングには至らなかったものの、ソユーズ2号はその後も軌道上にとどまり、計画された飛行を続けました。そして、1968年10月28日、無人のままソユーズ2号は地球への帰還を果たし、着陸に成功しました。

ソユーズ2号と3号のミッションは、有人での軌道上ドッキング技術の難しさを改めて浮き彫りにしました。この失敗は、その後のソユーズ計画におけるドッキング技術の改善や、飛行士の訓練プロセスの見直しに繋がる教訓となりました。有人宇宙飛行再開に向けた重要なステップではありましたが、完全な成功とはなりませんでした。

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