ソユーズ27号

ソユーズ27号ミッション概要

1978年1月10日、ソビエト連邦はバイコヌール宇宙基地より、有人宇宙船ソユーズ27号（Soyuz 27、ロシア語: Союз 27）を打ち上げました。このミッションの主な目的は、当時地球軌道上に運用されていた宇宙ステーション「サリュート6号」を訪れることでした。これはサリュート6号にとって、運用開始以来3回目の有人宇宙船による訪問であり、ステーションの前面ドッキングポートへのドッキングに成功した事例としては2回目にあたります。

ミッションの目的と画期的な成果

ソユーズ27号ミッションには、複数の重要な目的が設定されていました。最も主要な目的の一つは、サリュート6号に先にドッキングしていたソユーズ宇宙船、具体的にはソユーズ26号と機体を交換することでした。この宇宙船交換は、宇宙ステーションに長期滞在するクルーが、常に新しい機体、すなわち信頼性の高い「脱出ボート」を確保しておくための運用上の手順です。ソユーズ27号は、ステーションに滞在中のユーリ・ロマネンコ飛行士とゲオルギー・グレチコ飛行士のために、新しい帰還手段を提供することになりました。

また、ソユーズ27号がサリュート6号の前面ドッキングポートを利用して接続することで、将来的に無人補給船「プログレス」などがステーションに物資を供給するためのポートを確保するという目的も含まれていました。

このミッションで最も歴史的な意義を持つのは、宇宙空間における「3機ドッキング」の成功です。ソユーズ27号がサリュート6号の前面ポートにドッキングを完了した時、ステーションの後方ポートには既にソユーズ26号が接続されていました。これにより、サリュート6号ステーションを中央として、両側にソユーズ26号とソユーズ27号が結合した、合計3機の大型宇宙機が軌道上で一体となる状態が史上初めて実現しました。この技術的な偉業は、後の国際宇宙ステーション（ISS）のような、複数のモジュールや宇宙船が結合して運用される大規模な宇宙構造物を構築・維持するための基礎技術を確立する上で、非常に重要な一歩となりました。

搭乗クルーと宇宙での活動

ソユーズ27号の打ち上げ時に搭乗したクルーは以下の2名です。

船長: ウラジーミル・ジャニベコフ（彼にとって初めての宇宙飛行でした）
フライトエンジニア: オレグ・マカロフ（彼にとって3回目の宇宙飛行となりました）

彼らはサリュート6号にドッキング後、約5日間にわたりステーションに滞在しました。滞在中、ジャニベコフ飛行士とマカロフ飛行士は、ステーションの長期滞在クルーであるロマネンコ飛行士とグレチコ飛行士と共に、科学実験やステーションシステムのチェック、そして宇宙船間の物資や機材の移動などの作業を行いました。この期間中に、ソユーズ26号とソユーズ27号の帰還用途が交換されました。

サリュート6号での共同作業を終えたジャニベコフ飛行士とマカロフ飛行士は、彼らが乗ってきたソユーズ27号ではなく、先にドッキングしていたソユーズ26号に乗り移り、1978年1月16日に地球へ帰還しました。ソユーズ27号はサリュート6号に残され、その後も長期滞在を続けたロマネンコ飛行士とグレチコ飛行士が、彼らのミッション終了後に地球へ帰還する際の宇宙船として使用されることになります。したがって、ソユーズ27号の最終的な帰還時のクルーはロマネンコ飛行士とグレチコ飛行士となります。

本ミッションにおけるバックアップクルーは、ウラジーミル・コワリョーノク飛行士とアレクサンドル・イワンチェンコフ飛行士でした。

ミッションパラメータ

ソユーズ27号のミッションに関する主な軌道パラメータは以下の通りです。

質量: 6,800 kg
近点: 198.9 km
遠点: 253.8 km
軌道傾斜角: 51.65°
* 軌道周期: 88.73分

ソユーズ27号ミッションは、宇宙ステーションへの宇宙船交換という運用手法を確立し、また3機の宇宙機の軌道上での同時結合という歴史的な技術的成果を達成しました。これは、その後のソビエト連邦（そしてロシア）の宇宙ステーション計画において、長期滞在ミッションの円滑な実施と、より複雑な軌道上構築物の実現に向けた重要なステップとなりました。

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