ソユーズMS-18

ソユーズMS-18：国際宇宙ステーションへのミッション

ソユーズMS-18は、2021年4月9日に打ち上げられたロシアのソユーズ宇宙船による有人宇宙飛行ミッションです。このミッションの主な目的は、第64次長期滞在の乗組員を国際宇宙ステーション（ISS）へ輸送することでした。ソユーズ宇宙船としては146回目の有人飛行にあたります。

ミッション概要

ソユーズMS-18の乗組員は、ロシア人コマンダー、ロシア人フライトエンジニア、そしてNASAのアメリカ人フライトエンジニアで構成されていました。宇宙船は約191日間宇宙に滞在し、2021年10月17日に地球へ帰還しました。

特筆すべきは、このフライトが、映画「Vyzov（挑戦）」の撮影のためにソユーズMS-19でISSに到着した映画監督クリム・シペンコと女優ユリア・ペレシルドの帰還船となったことです。宇宙空間での映画撮影という新たな試みは、大きな注目を集めました。

NASAとの協力

当初の計画では、セルゲイ・コルサコフがクルーに予定されていましたが、ロスコスモスはNASAの要請に応じ、マーク・T・ヴァンデ・ヘイを代わりに配置しました。同様に、バックアップクルーもディミトリー・ペテリンからアン・マクレーンに変更されました。この変更により、NASAの宇宙飛行士のソユーズ宇宙船でのフライト機会が少なくとも1回延長されることになりました。これは、NASAとロスコスモスの間の補完的な乗組員輸送サービスのための現物取引として行われ、金銭的なやり取りは発生していません。

プリチャルモジュールの準備

ソユーズMS-18の乗組員は、ISSにドッキングしたばかりの新しいモジュール、ナウカに取り付けられる欧州ロボットアーム（ERA）の一部を輸送する役割も担っていました。また、2021年11月24日に打ち上げが予定されているプリチャルモジュールの準備作業にも関わっていました。

プリチャルは、ナウカの天底側ポートにドッキングするように設計されており、ソユーズやプログレスなどの輸送機、さらにはより大型のモジュールや将来の宇宙船とのドッキングを可能にする、複数のドッキングポートを備えています。ソユーズMS-18の乗組員は、プリチャルモジュールの到着後、モジュールの初期準備作業に焦点を当てた船外活動を行う予定でした。

エンジン点火事故

2021年10月15日、ソユーズMS-18は着陸準備中に、推進システムの不具合により予定外のスラスター噴射を起こし、ISSの姿勢が大きく変化する事態が発生しました。幸い、ステーションの姿勢制御システムが迅速に対応し、事態は収束しました。この事故は、ミッションコントロールが誤った手順で指令を送ったことが原因であり、過去にも同様の事故が発生していたことから、今後の対策が求められます。

帰還

予定通り、オレッグ・ノヴィツキー船長、そして映画撮影のために滞在していたシペンコとペレシルドは、ソユーズMS-18で2021年10月17日に地球へ帰還しました。一方、ソユーズMS-18でISSに到着した宇宙飛行士ピョートル・ドゥブロフとマーク・ヴァンデ・ヘイは、アントン・シュカプレロフとともにソユーズMS-19で帰還することになりました。

ソユーズMS-18ミッションは、ISSへの人員輸送、科学実験の実施、そして宇宙空間での新たな挑戦という、多岐にわたる目的を達成しました。また、国際協力の重要性を示す事例としても、記憶されることでしょう。

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